残余あと)” の例文
旧字:殘餘
四人の同胞きやうだい、総領の母だけが女で、残余あとは皆男。長男も次男も、不幸ふしあはせな事には皆二十五六で早世して、末ツ子の源作叔父が家督を継いだ。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
巧いだろう? 斯ういう具合で君は坊ちゃんを家へ置いて又小僧に連れられて此処へ引き返す。残余あと最早もうめたもんだ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
おゝ金子かねだ、大層たいそうつてやアがるナ、もう死ぬとふのでおれ見舞みめえつてやつたから、金兵衛きんべゑさんにこれだけ残余あとはお長家ながやしゆうへツて、施与ほどこしでもするのか
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
... 貴嬢方あなたがたがお買わせになると三百五十目の鶏といっても正味二百七、八十目よりありません。残余あとは皆んな胃袋とはらわたの重量のみですアハハ」と仔細しさいを聞いて玉江嬢も呆れ「オヤオヤ」
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
瞬くうちに船一パイになったら、残余あとはソレキリ打っちゃらかしだ。勿体もったいないが惜しい事はない。タカダカ三円か五円ソコラの一発だからね。マゴマゴして巡邏船じゅんらせんにでも見付かったら面倒だ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ガヷナーが動いた上に宮地出雲守いずものかみと来たら、君としてこれ以上の陣立じんだてが望めるかい? 残余あとは単に時間の問題だよ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
残余あとみんな己が飲んで仕舞わア…長い浮世に短い命だ…人は…篦棒めえ正直にしたってしなくたって同じ事だ京橋鍛冶町の小間物屋のお筆さんの事を見ても知れたもんだ
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
十五円の俸給は何処にどう使つて了ふのか、時として二円五十銭といふ畳付たたみつきの下駄を穿いたり、馬鹿に派手な羽織の紐を買つたりするのは人の目にも見えるけれど、残余あとが怎なるかは
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
残余あとは最早他愛ないです。音八は何食わぬ顔で刀の手入れを引受けました。そうして磨ぎの上る約束の日に武士が来た時捉えてその刀で仇討を果しました。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あゝーず無事で安心を致した、是れは八年ぜんに是れだけ毀したのを金粉繕ふんづくろいにして斯うやってある、しか残余あと瑕物きずものにしてはならんから、どうかちゃんとそんして置きたい
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
残余あとの二軒は、叔父のうちと私の家。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
三区たっぷり乗る場合には文句もないが、二区半ぐらいの場合には二区で下りて残余あとの半区を歩くのが名古屋気質かたぎだから、五銭均一には極力反対したそうだよ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
幸「えゝ其の勘定はしかと心得ませんが五十金足らずかと心得ます、唯小菊の上へ掴み出して与えました事ゆえ勘定は確とは心得ませんが、残余あとの使い高に依って考えますと五十金足らずかと心得ます」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それじゃ残余あとの百五十円口を探せば宜いんだ。何だい? 簡単明瞭じゃないか?」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その後余り振わないようだが、矢張り全同窓中の出世頭だ。残余あと六名は無論いけない。非常に能く神を信じた男が死んでしまった。卒業後直ぐに渡米した男はもう長いこと消息がない。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
うだろうね。この辺のところはこれさえ出来れば残余あと自然ひとりでに分る筈だから」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
私は英語を習い始めてまる四年になるが、舶来のは初めて耳にする。グッド・アフタヌーンが分った丈けで、残余あとっとも歯が立たない。野崎君も同感らしく、ポカンとして首を傾げていた。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
残余あとは皆地方か。う/\この間大阪へ行ったら熊谷に会ったよ」
母校復興 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)