家督あと)” の例文
母の違ふに父親てゝおやの愛も薄く、これを養子に出して家督あとは妹娘の中にとの相談、十年の昔より耳に挾みて面白からず、今の世に勘當のならぬこそをかしけれ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
えゝ浅草の三筋町——俗に桟町さんまちという所に、御維新ごいっしん前まで甲州屋と申す紙店かみやがござりました。主人あるじは先年みまかりまして、お杉という後家が家督あとを踏まえてる。
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
本郷春木町の指物屋岩吉方へまいり、様子を聞くと、岩吉は故人になり、職人が家督あとを相続して仕事を受取って居りますことゆえ、とて此処こゝの厄介になる事は出来ません。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
石之助いしのすけとて山村の総領息子、母の違ふに父親てておやの愛も薄く、これを養子にいだして家督あと妹娘いもとむすめなかにとの相談、十年の昔しより耳にはさみて面白からず、今の世に勘当のならぬこそをかしけれ
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
石之助いしのすけとて山村やまむら總領そうりやう息子むすこはゝちがふに父親てゝおやあいうすく、これを養子やうしいだして家督あと妹娘いもとむすめなかにとの相談さうだん、十ねんむかしよりみゝはさみて面白おもしろからず、いま勘當かんだうのならぬこそをかしけれ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)