形跡あと)” の例文
翌朝になると早速さっそく裏木戸や所々ところどころと人の入った様な形跡あとを尋ねてみたが、いずれも皆固くとざされていたのでその迹方あとかたもない、彼自ら実は少し薄気味悪くなり出したが
暗夜の白髪 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
脳天の中央に、鉄槌かなづち様の鈍器で叩き破られた穴がポコンといて、真黒な血のひもがユラユラとブラ下がっていた。何等の苦悶の形跡あとも無い即死と見えた……という簡単な死に方だ。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのほか大卓子テーブルの上には、茶を飲んだ形跡あともなければ、物を喰べた痕跡なごりもない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)