阿堵あと)” の例文
「玄間学屈原候こといかなるわけに候哉。国に居候時も阿堵あとに不埒多きをのこ、定而さだめて其事なるべし。しかし何処へ行ても一あてはあてるをのこ、仙台か金沢へゆくもよかるべきに、可惜ことに候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
田能村竹田の山中人饒舌さんちゅうじんじょうぜつは「予、宮本武蔵ノ画布袋ほてい図ヲ蔵ス、筆法雋頴けいえい、墨色沈酣ちんかん阿堵あと一点、突々人ヲ射ル。又、設色馬十二題図ヲ観ル、朱ヲ施シ粉ヲテンジ、濃厚ヲ極ム、而シテ俗習ナシ、鞍鞭鑑諸具ニ至リテハ、古式ヲ按ジテ之ヲ作ル」
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)