遺跡あと)” の例文
そうして昔の母屋を取払った遺跡あとが広い麦打場になっている下の段の肥料小舎ごやの前まで来ると、三人が向い合って立停って、小声で打合せを始めた。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そうばかりもいわれないよ、遺跡あとがのこっているのだからな」
染吉の朱盆 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それなら石こづめの遺跡あとを見て参りましょう」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
研究するのが好きだからさ。だからあの空屋あきやを買ってみたくなったんだよ。そんな犯罪事件のあった遺跡あとを買って、落付いて調べてみると、意外な事実を
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
結構な水の出る古井戸や、深い杉木立や、凝ったお庭づくり遺跡あとが、山から参いります石筧いしがけひの水と一所に附いておりますから御別荘に遊ばすなら手入らずなんで……
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
アトでその爆発の遺跡あとをコッソリと見に行った時には文字通り「人間万事夢だ」と思ったね。直径二三町、深さ二十間ぐらいの摺鉢形すりばちがたの穴が残っていただけだからね。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「イエイエ。それが旦那。シラ真剣なんで……ヘエ。それがその何で御座います。今から三百年ばかり前に焼けた切支丹寺と申しますものの遺跡あとなんだそうで……ヘエ」
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)