“後:あと” の例文
“後:あと”を含む作品の著者(上位)作品数
小川未明141
芥川竜之介60
泉鏡花55
田中貢太郎46
夏目漱石32
“後:あと”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸58.1%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)24.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語12.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
盆踊りのあと淫猥いんわいの実行が行われるから困ると非難する者もあるが、その実行は盆踊りの後に限ったことではない。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
それで「東京へ」とだけ付け加えましたら、叔父がすぐあとを引き取って、「よろしい決して心配しないがいい」と答えました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
友達は甲州線こうしゅうせん諏訪すわまで行って、それから引返して木曾きそを通ったあと、大阪へ出る計画であった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いつもは規定として三膳食べるところを、その日は一膳で済ましたあと、梅干を熱い茶の中に入れてふうふう吹いてんだ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
土浦つちうらからかれつかれたあしあとてゝ自分じぶんちからかぎあるいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「なんぼ、ぼくだつて、さう無責任な翻訳は出来できないだらうぢやないか。誤訳でも指摘されるとあとから面倒だあね」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
欺て河豚を喰わせるれから又一度やっあとで怖いとおもったのは人をだまして河豚ふぐわせた事だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
荒神まつりの文句じゃねえかともかんげえてみましたがそうでもないらしんで……ズットあとになって聞いてみましたら
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あっしもズットあとになって、そのチイちゃんの睨みの恐ろしい意味がわかってスッカリ震え上がっちゃったもんですがね。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
呆気あつけない別れがその時は当然の事の様に想はれて格別何の感じも無かつたが、あとになつて考へると何だか淋しい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
この男だけは、普通の大きさだった。何んとなくホッとすると同時に、そうだ、さっきあとから歩いて来た男だ、と思いついた。
火星の魔術師 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
もし其男女の仲が直れば、あとで好く思われる筈は無い、双方の古疵ふるきずを知っているいつの他人であるからである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あとから何十人という人がどんどんおちこんで、下のものはおしつけられておぼれてしまうし、上の方にいた人は黒こげになって
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
見よ彼は背を胸に代ふ、あまりにさきをのみ見んことをねがへるによりていまあとを見後方うしろにゆくなり 三七―三九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そして自分の能力をためすことは不精げにあと回しとして、まず内心に咲き乱れてる花に誇らかに酔って、陶然としてしまった。
それを聞くと、皆は急にまたいつぱし偉い飛行家になつた積りで、宙返りでもしたあとのやうに、そつと自分の額を撫でてみた。
始めに第一流の人物を交換したのではあとが六ずかしい、始めは二流、三流、もしくば四流で交換してはドウかと返事を出した。
人格を認知せざる国民 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ちょうどりょうちゃんとせいちゃんが、かわあとにして、りからかえってくる途中とちゅうでした。
クラリネットを吹く男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あとで売れば何のくらいもうかったか知れねえのに、惜いことをした、此の人は、う云う気だから力を落さねえのだな
彼はぐずぐずしていては何時いつまでっても入れないから、あの戸の往ってしまったあとから入ろうと思った。
女の首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
春さきのころころ蛙、一つ鳴き二つ鳴き、ころころとあと続け鳴き、ふと鳴き止み、くぐみ鳴き、また急にきかへり鳴く。
大井のあとから外へ出た俊助には、こう云うお藤の言葉の中に、彼の大井に対する厚情を感謝しているような響が感じられた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
八千円ばかりの金高から百円を帳面ちょうづら胡魔化ごまかすことは、たとい自分に為し得ても、直ぐあと発覚ばれる。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
此方こちらあとに心が引かされるから振返り/\、漸々よう/\のことで渡を越して水街道から戸頭へさしてきます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
例外であるが蓄めていればそれだけの労力というものをあと繰越くりこすのだから、やはり同じ理窟りくつになります。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうしてそのあとへはすぐあくる日から新しい患者が入って、入口の柱に白く名前を書いた黒塗の札が懸易かけかえられた。
変な音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうしてそのあとへ自分が旅行した満洲まんしゅう地方の景況をさも面白そうに一口ぐらいずつ吹聴ふいちょうしていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その代り見え隠れに二人のあとけて、でき得るならば断片的でもいいから、彼らの談話を小耳にはさもうと覚悟した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分が死んだあと、この孤独な母を、たった一人伽藍堂がらんどうのわが家に取り残すのもまたはなはだしい不安であった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と云うが早いか初さんは消えてなくなった。あとは二人になる。親方は窓の中から、自分は表に立ったまま、談話はなしをした。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女もひとに聞くと胃病に違ないというから、好い医者に見せたいのだけれども家業が家業だからとあとは云い渋っていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
規則ずくめな事に何でも反対したがった彼は、年を取ってその考が少し変って来たあとでも、やはり以前の強情を押し通していた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
好い加減をいうとすぐあとから実行をせまられそうな様子なので、津田は生返事なまへんじをしたなり話をほかへそらした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いまより完全くわんぜん繼續けいぞくして、櫻木大佐等さくらぎたいさら立去たちさつたあといへど
足場の悪い所なぞ、思わず見かえると、あと見るな/\と手をふって、一本橋にも人手をらず、堅固けんごに歩いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
晝餐ひるあとつめたくつたときなどにはかれはそこらのあつめてやす。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日糖事件の起る少し前、東洋汽船といふ会社は、壱割二分の配当をしたあとの半期に、八十万円の欠損を報告した事があつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一同が思わずワアと声を揚げてあと退さがったすきに吾輩は、そこに積上げて在るトランクを小楯に取って身構えた。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「はい。けれどもそれを読んでしまったあとに、それが秘密にしてある事が判明わかりましたので焼き棄ててしまいました」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
おれは併し隣のいた席へ荷物パツケを置いてあとから入つて来る乗客に「これは僕の友達の席です」と云つて拒んだ。
素描 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
とそっけなく云われ、孝助はあとを細かく聞きたいからもじ/\していると、また門口よりり来るは女連れの二人にて、
あとかんがえると、この御縹緻ごきりょうかえっておあだとなったらしく、矢張やはおんな
岐阜ぎふでは蒼空あをそらえたけれども、あとにし北国空ほくこくぞら米原まいばら
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私はこれからあともこの意味で世間へ挑戦してやろうと考えている。この事件を記録した一冊のノートと六千円を資本にして……。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
皮粕は他の淵の倍も入れられた。二三尾の岩魚いわなず浮いて来た。そのあとから山女やまめが一つ浮いて来た。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
さて、これからあとの始末をつける段となるのでありますが、急に師匠にかれては、どうして好いか方角も付きません。
殿様はそのせゐで四五十日ばかり傷療治をしなければならなくなつたが、傷が治つたあとでも、別段賢くはなつてゐなかつた。
「世間は口うるさいものですよ。あとになつて何とか噂されぬやうに、今のうちに知らせてお置きになるがよろしいでせう。」
「いや、虎ヶ窟へ……。私は一足先へ行くから、みんなが起きたらすぐあとから来るようにう云ってれ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
Kはそのあとをゆっくりとつけ、つまずいてほかの子たちに取残された一人の少女に追いつき、並んで登りながらきいてみた。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
ざまやがれ。」とあとをもず、かたいからして、ひぢつて、すた/\る。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
学校がっこうへいってしまったあとで、おかあさんがおへやへはいってみると、手紙てがみいてありました。
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まあ、ごしんせつに、けっして、そんなことはないんです。それに、もう、みんなしまったあとですもの。」といいました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
喬生はじぶんの家のほうへ指をさした。少女は燈籠を持ってさきに立って往った。二人はそのあとから並んで歩いた。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「いッそのこと、あとに生き残っている甲賀世阿弥こうがよあみも、この際、殺してしまったほうがよかろうと存じます!」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あとから、やさしいわか女房にょうぼうが、ぬぐいをあたまにかぶって、わらじをはいてついてきました。
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただ洋服とちがうのは、上衣うわぎをさきに着て、下の袴をあとからその上へはくだけで、その上衣はできるだけ短くした。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これに反して、あとのほうは、わたしたちの注意によりまた理解によって、まだまだうんと進めることができそうなのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
老女が房子のあとから、静に出て行ってしまったあとには、もう夾竹桃も見えなくなった、薄暗い空虚の客間が残った。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼は風がささやくままに、あの湖をあとにしてから、ちょうど満七年の間、はてしない漂泊ひょうはくを続けて来た。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
新「お園どんお薬が出来たからお飲みなさい、あんまさますときかないから、丁度飲加減を持って来たが、あとは二番を」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あとで考へれば不思議だつたが、其の時、袁〓は、この超自然の怪異を、實に素直に受容れて、少しも怪まうとしなかつた。
山月記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
都会から来た避暑客は、既に皆帰ってしまって、あとには少しばかりの湯治客とうじきゃくが、静かに病を養っているのであった。
猫町:散文詩風な小説 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
思い切って、自分でけ出して医者をむかいに行こうとしたが、あとが心配で一足も表へ出る気にはなれなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぱっと射る稲妻のくまで明るく物を照らしたあとが常よりは暗く見えるように余は茫然ぼうぜんとして地に下りた。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これは日本人の体質にも習慣にもるのであらうが、読書などにるとあと船暈せんうんを感ずる原因に成り易い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
此度このたびの難産のあと、奥方は身体からだがげつそりよわつて、耳も少し遠く成り、気性までが一変して陰気に成つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
あとの旅をするにもい、後の旅が楽じゃア、それを詰らぬ事に嫉妬やきもちでぎゃア/\云うからられないで
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
雪江さんがあとから追蒐おっかけて行って、また台所で一騒動やるうちに、ガラガラガチャンと何かがこわれる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
寂心はあとへ一足引いたが、あたかもそこに在った木枕を取って中へ打込み、さらりと戸をしめて院外へ出て帰ってしまった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いたはしや花瀬は、夫の行衛ゆくえ追ひ駆けて、あとより急ぐ死出しでの山、その日の夕暮にみまかりしかば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
すなはち定かにしたゝめんとて足をとむれば、やさしき導者もともに止まり、わが少しくあとに戻るを肯ひたまへり 四三―四五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
わたくしなによりつらくかんじたのは、あとのこした、いたる両親りょうしんのことでした。
味方みかたのこらずたれて最後さいご一人ひとりになるまでもけっしてあとへは退きません。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
不意打を喰はせてとりこにするのだが、あとの連中は先へ來てゐる自分の仲間が此樣な災難に逢ツてゐるとは知らない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼をかこめるくみをみよ、他はみないよ/\うるはしき奧深き歌をうたひつゝグリフォネのあとより昇る。 八八―九〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
『あの幸ちゃんが来たら散歩に行ったって、そしてすぐ帰るからッて言っておくれ、』と時田は門を出た。お梅はあとについて来て、
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
と、うみいだあとを、ぶる/\ふるへるなみのやうなたゝみうへに、をとこだかをんなだか
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いや私もうっかりいってしまって、あとこまったなと思ったが、しかしお前が知らない知らないといったのは大できだった」
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「あきまへん、とてもあきまへんよつて、お先きへ往かしとくなはれや、そしてお爺さんはあとからゆつくりおいなはれ。」
名を知らない弟子達は、「お弟子だ」といふ名義一つで、そのあとを書き継がせて貰ひたさに、のこのこ出掛けてゐるのだ。
自分はすぐに椅子をはなれて、開き戸越しに覗いて見たが、女の子はもう消えるやうに内へ這入つたあとで、影も見えない。
女の子 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
そうして、つえをついて門口かどぐちますと、ボンはおじいさんのあとについて、さっさといってしまったのであります。
おじいさんの家 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうしておおぜいがっていったあとから、一人ひとりできかかるおとこや、おんながありました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
戦闘せんとうあとで、徳蔵とくぞうさんは、あの兵士へいしは、無事ぶじだったかとあるきました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんおどろいてそのあとったが、どういうものかあしおもくて、なかなかうごきません。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
イザナギの命はお隱れになつた女神めがみにもう一度會いたいと思われて、あとを追つて黄泉よみの國に行かれました。
あとからも後からも、しきりなしに風は吹いていました。けれど同じ風が二たび自分を吹くのを海豹は見ませんでした。
月と海豹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
じぶんで己を抑えることができないので、女のあとになりさきになりしていて往くと、女がふりかえって微笑しながら
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と、動悸を打たせて、それを確かめるまでの努力と、はかないあとの落胆に、さびしい顔を見あわせたことが、何十遍かわからない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子をなして幾人いくたりの親、死なしめてあとのこる妻、かしましと世にいふきはか、さて寄りて我にかくいふ。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何處どこへ行きますのや、……一體。……』と、お光はあたふたと車室を出る小池のあとから、小走りに續きながら聲をかけた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
多数の桑名屋徳蔵くわなやとくぞうい去ってあとぐ者なく、湊々みなとみなと日和山ひよりやま
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして、そのままあひるをはなして、バケツとふろしきづつみをげて、父親ちちおやあといかけました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
(お嬢様は、萩乃がこうしておあとを慕って来ているとは、夢にも御存じないであろう。……ああ早く行き会いたいが)と、念じた。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あとになって気がついて見ると、風呂敷ふろしきに包んだ何斤なんぎんかの氷をしっかり胸に当てていたそうである。
春の夜 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのあとからは、彼の生まれた家のうしろにある、だだっ広い胡麻畑ごまばたけが、すべるように流れて来た。
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
所が泣き伏した女をあとに、藪の外へ逃げようとすると、女は突然わたしの腕へ、気違いのようにすがりつきました。
藪の中 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「どうだ、兵たいはもうひきかえしたか。ちょっと見てくれ。」と、火の目小僧に言いました。火の目小僧はまたあとをふりかえって、
ぶくぶく長々火の目小僧 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
藤尾ふじおは無言であとを締める。母のむこうに火鉢を隔ててすらりと坐った時、鉄瓶てつびんはしきりに鳴る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)