先刻さいぜん)” の例文
と正直に答えますと、暫く私どもの顔を見上げておりました非人は、先刻さいぜん、呉れてやった味噌チリの面桶めんつうむしろの蔭から取出しました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……私はそれから裏口の梔子くちなしの蔭にむしろを敷きまして、煙管きせるくわえながら先刻さいぜん蒸籠せいろつくろい残りをつづくっておりましたが、そこから梔子の枝越しに、離家の座敷の内部ようす真正面まむきに見えますので
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)