“先刻(さきに)” の例文
血汐(ちしほ)は先刻(さきに)脛(はぎ)を伝ひて足の裏を染めたれば、其(そ)が天井に着くとともに、怨恨(うらみ)の血判(けつぱん)二つをぞ捺(お)したりける。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
腰元は驚き恐れつゝ件(くだん)の部屋を覗けば、内には暗く行灯(あんどう)点(とも)りて、お村は脛(はぎ)も露(あらは)に横(よこた)はれる傍(かたはら)に、一人(いちにん)の男ありて正体も無く眠れるは、蓋(けだし)此家(このや)の用人なるが、先刻(さきに)酒席に一座して
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かれ先刻(さきに)泰助の後を跟け来りて、この座敷の縁の下に潜みており、散々藪蚊(やぶか)に責められながら、疼痛(いたみ)を堪(こら)うる天晴(あっぱれ)豪傑、かくてあるうち黄昏(たそが)れて、森の中暗うなりつる頃、白衣を着けたる一人の婦人
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)