先刻きつき)” の例文
豊後が理由わけを訊くと、先刻きつき忠成は道の通りがかりに、腹が空いて困るから、湯漬ゆづけなりと振舞つて欲しいと言つて、座敷に上り込み、主人も家来も負けず劣らず大食おほぐひをして帰つたあとだと解つた。
末松夫人は先刻きつきから悪い者が通りかゝつたと思つて、身体からだ乾葡萄ほしぶだうのやうに平べつたくして、成るべく見つからないやうにしてゐたが、老人に呼びかけられて、強ひてぢ曲げるやうに笑顔を作つた。