温良おとな)” の例文
「くだものさ。花もある、もうすこし温良おとなしくしているんだよ。わかったかな。」
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
だが彼は、温良おとなしい上に、ただ一つの潔癖がある。それは、自分が愛し得ない女には、指一つ触れることさえ出来ない性情だった。愛の潔癖性、それが彼を青春時代の危機から、救ってくれた。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
食べ物のお土産などを持って、村川は、それを頭から、追いしりぞけもしなかった。温良おとなしい彼は、親切におだやかに応対した。女はいろいろに彼を誘惑した。結局彼は、彼女に唇一つ与えはしなかった。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
おまへは温良おとなしく育つてゆけばいいのです
忘春詩集:02 忘春詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)