“すなお”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
素直62.4%
柔順21.6%
従順5.6%
温順2.4%
順直1.6%
卒直0.8%
柔和0.8%
樸厚0.8%
温厚0.8%
温和0.8%
(他:3)2.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「それは満更まんざら嘘ではない。何度もおれは手招てまねぎをした。」と、素直すなお御頷おうなずきなさいました。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし、そこを去ったとはいうものの、もとより素直すなおにこの諏訪すわ温泉の町を出てしまったわけでは無論ない。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弟は柔順すなおにうなずいた。寝台の枕元に掛けたタオルに薬鑵の湯を器用に流しかけて、涙に汚れた顔をゴシゴシと拭い初めた。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
女は痩せぎすな尫弱ひよわいような体つきで、始終黙ってはずかしげにしていたが、表に見えるほど柔順すなおではなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
唯、妻が自己おのれ周囲まわり見過みあやまらないで、従順すなおに働いてくれさえすればそれで可い、こう思った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
然し、その理由を是非にも聴こうとする衝動には、可成り悩まされたけれども、杉江はただ従順すなおいらえをしたのみで、離れを出た。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
どうでしょう、高瀬君、今度塾へ御願いしましたせがれの奴は。あれで弟と違って、性質は温順すなおな方なんですがネ。あれは小学校に居る時代から図画が得意でして、その方では何時でも甲を貰って来ましたよ。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ああどうにもこうにもならぬことじゃ、相手は恩のある源太親方、それに恨みの向けようもなし、どうしてもこうしても温順すなお此方こちの身を退くよりほかに思案も何もないか、ああないか、というて今さら残念な
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
高くて順直すなおでのびやかな鼻には、素性のよさが物語られているし、禿げ上がった広い額には、叡智的えいちてきのところさえある。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「なんですかい、それでは、片恋なので」——しかしもちろん心の中では、「そんなことだろうと思っていたよ」とこんなように思っているのであった。と、鴫丸は意外に順直すなおに、
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
卒直すなおに承引されぬからじゃ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それに気質きだてがまことに柔和すなお
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
のぶる口上に樸厚すなおなる山家やまが育ちのたのもしき所見えて室香むろか嬉敷うれしく、重きかしらをあげてよき程に挨拶あいさつすれば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
旦那もね、お前さんの知ってる通り、好い人物ひとなんですよ。気分は温厚すなおですし、奉公人にまで優しくて……それにお前さん、この節は非常な勉強で、人望はますます集って来ましたサ。唯、親としてのシメシがつかない。真実ほんとうに吾子の前では一言もないようなことばかり仕出来しでかしたんですからね。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この温和すなおな青年の顔を眺めると、三吉は思うことを言いかねて、何度かそれを切出そうとして、かえって自分の無法な思想かんがえを笑われるような気がした。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
七が眼尻めじりあがらぬうち温直すなおになされた方が御為おためかと存じます、それともあなたは珠運とかいうやつに頼まれて口をきくばかりじゃ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さて、同等の人間とすれば、彼の希望を率直すなおに入れ、美麻奈姫をめあわせたところで、決して我々の恥ではない。ところでもしも希望を拒み、姫を彼に与えなかったならば、戦端がひらかれるに相違ない。いよいよ戦いとなったとする。我々には勝ち目はないのである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
年は二十はたちを越ゆるようやく三つ四つ、背高く肉やせたり、顔だち凜々りりしく人柄も順良すなおに見ゆれどいつも物案じ顔に道ゆくを、であうこの地の人々は病める人ぞと判じいたり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)