“すなお”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
素直60.4%
柔順23.9%
従順6.0%
温順2.2%
順直1.5%
卒直0.7%
柔和0.7%
樸厚0.7%
温厚0.7%
温和0.7%
温直0.7%
率直0.7%
順良0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そんな素直すなおかんがえもこころのどこかにささやかないでもなかったのですが、ぎの瞬間しゅんかんにはれいけぎらいがわたくし全身ぜんしんつつんでしまうのでした。
弟は柔順すなおにうなずいた。寝台の枕元に掛けたタオルに薬鑵の湯を器用に流しかけて、涙に汚れた顔をゴシゴシと拭い初めた。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その間音なしく此処で書物ほんを見ているようにと言付けられたから、乃公は従順すなおに書物を読み始めた。空は青い。日はく照っている。家にいるのは勿体ない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
どうでしょう、高瀬君、今度塾へ御願いしましたせがれの奴は。あれで弟と違って、性質は温順すなおな方なんですがネ。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
高くて順直すなおでのびやかな鼻には、素性のよさが物語られているし、禿げ上がった広い額には、叡智的えいちてきのところさえある。が、大きくて厚手の口には、頑固らしいところがうかがわれる。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
卒直すなおに承引されぬからじゃ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それに気質きだてがまことに柔和すなおで、「綺倆きりょう千両、気質が千両、あとの千両は婿次第」と子守女が唄うている位で御座いました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
のぶる口上に樸厚すなおなる山家やまが育ちのたのもしき所見えて室香むろか嬉敷うれしく、重きかしらをあげてよき程に挨拶あいさつすれば、女心のやわらかなるなさけふかく。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
旦那もね、お前さんの知ってる通り、好い人物ひとなんですよ。気分は温厚すなおですし、奉公人にまで優しくて……それにお前さん、この節は非常な勉強で、人望はますます集って来ましたサ。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この温和すなおな青年の顔を眺めると、三吉は思うことを言いかねて、何度かそれを切出そうとして、かえって自分の無法な思想かんがえを笑われるような気がした。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あなたの娘ではなしさ、きり/\此処ここ御出おだしなされ、七が眼尻めじりあがらぬうち温直すなおになされた方が御為おためかと存じます、それともあなたは珠運とかいうやつに頼まれて口をきくばかりじゃ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さて、同等の人間とすれば、彼の希望を率直すなおに入れ、美麻奈姫をめあわせたところで、決して我々の恥ではない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
年は二十はたちを越ゆるようやく三つ四つ、背高く肉やせたり、顔だち凜々りりしく人柄も順良すなおに見ゆれどいつも物案じ顔に道ゆくを、であうこの地の人々は病める人ぞと判じいたり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)