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柔順
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すなお
ふりがな文庫
“
柔順
(
すなお
)” の例文
ああ、うつくしい白い指、
結立
(
ゆいた
)
ての品のいい
円髷
(
まるまげ
)
の、
情
(
なさけ
)
らしい
柔順
(
すなお
)
な
髱
(
たぼ
)
の
耳朶
(
みみたぶ
)
かけて、雪なす
項
(
うなじ
)
が優しく清らかに
俯向
(
うつむ
)
いたのです。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
弟は
柔順
(
すなお
)
にうなずいた。寝台の枕元に掛けたタオルに薬鑵の湯を器用に流しかけて、涙に汚れた顔をゴシゴシと拭い初めた。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いつも
柔順
(
すなお
)
に言うことを聞くはずのムクが、帰れと言われても今宵はそれを聞き分けずに、お玉が歩きだすとムクはやっぱり後をついて来るのでありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
時としては、いくら黙言の
柔順
(
すなお
)
な清吉でも
堪
(
こら
)
え切れんで顔を真赤にして
拳
(
こぶし
)
を
堅
(
かた
)
めて相手を睨むことがある。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼女は
何方
(
どちら
)
かといえば
温順
(
おとなし
)
過ぎる位であった。
寧
(
むし
)
ろ陰気な女であった。しかし
柔順
(
すなお
)
で正直で骨を惜まずに能く働いて、どんな場合にも決して
忌
(
いや
)
そうな顔をしたことはなかった。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
柔順
(
すなお
)
な足も今は自由にならなくなって、彼女は何か力と頼むべき柱をさがしていました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
笹村は、女に対する自分の態度の
謬
(
あやま
)
っていることが判るような気がした。お銀に
柔順
(
すなお
)
な細君を
強
(
し
)
いながら、やはり妾か何かを扱うような荒い心持が自分にないとも言えなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
目が
開
(
あ
)
きかけた今の若い婦人は、今の教育家の教などに屈従するほどに
柔順
(
すなお
)
でありませんから、学校でこそ教師の前で良妻賢母主義に甘んじたような顔附を致しておりますけれど
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
皆さんの御意見でさえ
柔順
(
すなお
)
にいう事をきかないんですから何うで駄目でしょうけれど
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
柔順
(
すなお
)
なお心に付け込んで、いろいろのことを聞き出したあげく、烏組のお紋さんへ耳打ちし、仁右衛門さんやら山影さんやら、そうしてあなた方お二人までも、網に引っかける仲立ちを
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
欲をかわくな
齷齪
(
あくせく
)
するなと常々妾に
諭
(
さと
)
された自分の言葉に対しても恥かしゅうはおもわれぬか、どうぞ
柔順
(
すなお
)
に親方様の御異見について下さりませ、天に
聳
(
そび
)
ゆる
生雲塔
(
しょううんとう
)
は誰々二人で作ったと
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
狩野氏の家を出てから山端の平八茶屋で午飯を食うて此の宿の門前に来るまでは
如何
(
いか
)
にも
柔順
(
すなお
)
な子供らしい態度の漱石氏であったが、一度宿屋の門をくぐって女中たちが我らを出迎えてからは
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
紳士は、
柔順
(
すなお
)
にモジ/\しながら立ち上った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と
冴
(
さ
)
えた声で手招きをしながら、もう石橋を
飜然
(
ひらり
)
と越えて、先へ立って駆出すと、
柔順
(
すなお
)
な事は、一同ぞろぞろ、ばたすたと続いて行く。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時には太郎もシクシク泣いていたが、元来
柔順
(
すなお
)
な
児
(
こ
)
だったので、何のコダワリもなく彼の言葉を受け入れて、心からうなずいていたようであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
丸山の隣へ引っ越して行ってから、この女とお庄はじきに近しい
間
(
なか
)
になった。女は痩せぎすな
尫弱
(
ひよわ
)
いような体つきで、始終黙ってはずかしげにしていたが、表に見えるほど
柔順
(
すなお
)
ではなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「御意」と集五郎はまた揶揄的に、「どうだな、
柔順
(
すなお
)
に渡されては」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
面
(
おもて
)
を伏せて
柔順
(
すなお
)
に答えました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「お見せ。」……とも言はず、
女太夫
(
おんなたゆう
)
が、
間近
(
まぢか
)
から手を
伸
(
のば
)
すと、逆らふ
状
(
さま
)
もなく、頬を横に、
鬢
(
びん
)
を
柔順
(
すなお
)
に、
膝
(
ひざ
)
の皿に手を置いて
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それこそ見付け物といってもいい位に
柔順
(
すなお
)
で、無口で、俺(水夫長)の
目顔
(
めづら
)
ばかり見ながら、スラスラと立ちまわるのだから、薄気味の悪いこと夥しい。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
柔順
(
すなお
)
に山吹は云ったものである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と声も気も
軽
(
かろ
)
う、
衝
(
つ
)
と身を
反
(
そら
)
して
歩
(
あゆみ
)
を向けた。胸に当てたる白布には折目正しき角はあれど、さばいた髪のすらすらと、霜枯すすきの葉よりも
柔順
(
すなお
)
。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども太郎は生れ付きの
柔順
(
すなお
)
さで、正直に母親の遺言を守って、いくら友達に誘われても線路を歩かなかったらしく、毎日毎日国道の泥やホコリで、
下駄
(
げた
)
や
足袋
(
たび
)
を台なしにしていた。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこで
柔順
(
すなお
)
に溜息をした。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ふさふさの
簪
(
かんざし
)
を前のめりに挿して、それは人柄な、目の涼しい、眉の優しい、
口許
(
くちもと
)
の
柔順
(
すなお
)
な、まだ肩揚げをした、十六七の娘が、一人入っていたろう。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お絹が
柔順
(
すなお
)
に、もの
軟
(
やわらか
)
に取上げた、おでんの盆を、どういうものか、もう一度彦七がわざとやけに引取って
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まあ、
忍
(
ま
)
けときねえな。それを、お前、大先生に叱られたって、
柔順
(
すなお
)
に別れ話にした早瀬さんも感心だろう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何かは存ぜぬが
夫人
(
おくさま
)
の御意じゃ、
柔順
(
すなお
)
にお受け申して退散せい。」と御家老真四角なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(
柔順
(
すなお
)
なものじゃ、や、よう
肯
(
き
)
かしゃれたの……おおおお。)と云って
臀
(
しり
)
を動かす。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの
婆様
(
ばあさん
)
もさすがだの、わざと私が殺してみせて、
活
(
い
)
かして光子
様
(
さん
)
を棺に入れて駿河台へやったのは、隠居がいくら強情でも、
柔順
(
すなお
)
に
宅
(
うち
)
へ入れるであろうと思った思案は浅かったよ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爺どのは
悚然
(
ぞっ
)
として、はい、はい、と
柔順
(
すなお
)
になって、縄を解くと、ずりこけての、嘉吉のあの図体が、どたりと荷車から。
貴女
(
あなた
)
は
擡
(
もた
)
げた手を下へ、地の上へ着けるように、嘉吉の頭を下ろさっせえた。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これにも娘は
熟
(
じっ
)
として、
柔順
(
すなお
)
に身をまかせていたのである。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
柔順
(
すなお
)
に抱かれて寝る気は無いか。と
嘲弄
(
ちょうろう
)
されて
切歯
(
はがみ
)
をなし
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘が、
柔順
(
すなお
)
に尋常に会釈して
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
柔順
(
すなお
)
に返事する。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
柔順
(
すなお
)
だっけ。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
柔
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
順
常用漢字
小4
部首:⾴
12画
“柔順”で始まる語句
柔順過