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温柔
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おとな
ふりがな文庫
“
温柔
(
おとな
)” の例文
ギリシアのジオメデス王、その馬に人肉を飼ったが、ヘラクレス奮闘して王を殺し、その
尸
(
しかばね
)
を馬に
啖
(
く
)
わしむると
温柔
(
おとな
)
しくなったという。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
……ええかね君……
温柔
(
おとな
)
しく
従
(
つ
)
いて来たまえ。悪くは
計
(
はか
)
らわんから。ええかね。君はあの女優が殺された空屋の近くに住んでいるだろう。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
男の子で
温柔
(
おとな
)
しくしているのもあった。
穉
(
おさな
)
い線が石墨で路に描かれていた。——堯はふと、これはどこかで見たことのある情景だと思った。不意に心が揺れた。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
林の隠居は、こんな事をしたことの無い、
温柔
(
おとな
)
しい
老婦
(
としより
)
で、多勢の前へ出ると最早下を向いて了った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
摂津
(
せつつの
)
大掾の
女房
(
かない
)
のお
高
(
たか
)
婆さんといふと、名代の
口喧
(
くちやかま
)
しい女で、弟子達の多くが
温柔
(
おとな
)
しい大掾の前では、日向ぼつこの猫のやうに
暢
(
のん
)
びりした気持でゐるが、一度襖の蔭から
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
美伃 妾だって、ちっとも
温柔
(
おとな
)
しくなんか、ないんですよ。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
と口では云いながら飛び立つ思いを見せた鼻の表現がある——一方に嫌な男の処へ行けという親の前に両手を突いて
温柔
(
おとな
)
しく
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あんたは
温柔
(
おとな
)
しいな」と女は言った。
ある心の風景
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
……
温柔
(
おとな
)
しい、無口な優良児であった太郎は、俺が教えてやるまにまに、彼独特の数理的な天才をスクスクと伸ばして行った。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
第一番に見つけましたのは、紅木大臣の姉娘で、
紅矢
(
べにや
)
の妹の
濃紅
(
こべに
)
姫と申しまして、年は十六。
温柔
(
おとな
)
しい静かな娘で御座います。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
抜ける程可愛らしくて綺麗であったこと……その発育の円満であったこと……そうしてその風付きのタマラない程
温柔
(
おとな
)
しくて
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
母親はこの癖に気付いているにはいたが、
温柔
(
おとな
)
しい児にはあり勝ちのことなので、さほど気にかけていなかった。いくら呼んでも来ない時に
人の顔
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お母様のことだの、お友達のことだの、先生の事だの……それあ
温柔
(
おとな
)
しい、可愛らしい、お利口な、お人形さんだったのよ。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
温柔
(
おとな
)
しくしていて頂戴……。私は
貴女
(
あなた
)
が憎いから、こんな事をするのじゃありません。よござんすか。よく気を落ち着けて聞いて頂戴……ね。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
全体に丸顔の
温柔
(
おとな
)
しい顔立ちで、青い程黒く縮れた髪を
房々
(
ふさぶさ
)
と左右に分けているのが、その白い、細やかな皮膚を一層白く、美しく見せている。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「……エヘ……エヘ……声を立てる
間
(
ま
)
はねえんだよ。ええかねお嬢さん。
温柔
(
おとな
)
しく夢を見ているんだよ……ウフウフ……」
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だからその寄って来る魚群を
温柔
(
おとな
)
しく網で引いて取ればプランクトンはいつまでもいつまでも居残ってあとからあとから魚群を迎える事になる。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だけど、妾それから
温柔
(
おとな
)
しくしてヤングの話を聞いていたら、それがだんだん本当らしくなって来たから不思議なのよ。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
東京の人間が
温柔
(
おとな
)
しくなった、言葉を換えて云えば文化的に利口になった証拠が、今一つ前記の表の中に現われている。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
殺されるかどうかしていて自分に
疑
(
うたがい
)
をかけられているのだなと思いましたから、そのまま
温柔
(
おとな
)
しく引かれて行きました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私はお
伽噺
(
とぎばなし
)
でも聞くような気になってこの話を聞いていた。しかし別段鼓打ちになろうなぞとは思わなかったから、
温柔
(
おとな
)
しくうなずいてばかりいた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
やはりその富裕な一家の最後の血統に属する一人の
温柔
(
おとな
)
しい、頭脳の明晰な青年の身の上に起った事件で御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一匹
毎
(
ごと
)
に鼻面を叩いたり、口を開かせてみたり、眼のふちを撫でたりしてやると、馬は皆
温柔
(
おとな
)
しくして私が噛ませる黒砂糖包みの錠剤を一粒宛呑み込んだ。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「そんなら
温柔
(
おとな
)
しく妾の云う事をお聞きなさい。そうしてモウ時間ですからこの室を出て行って頂戴……」
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
丁度
扉
(
ドア
)
に手をかけていた私は、そのまま振り返った。こんな
温柔
(
おとな
)
しい検事が一番苦手だと思いながら……。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
イヤ、そんな静かな
温柔
(
おとな
)
しい娘では、話し相手にしても
嘸
(
さぞ
)
面白くない退屈な事であろう。俺達はそんな女は嫌いだ。それにこの国がいつまでも静かでは詰らぬ。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
一番ちいさいけれども
温柔
(
おとな
)
しいから、欲しがるものでもちっともあぶなくない。みんなリイの真似をしろ
奇妙な遠眼鏡
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
香倶土三鳥
(著)
三味線も踊りも、歌も駄目で、芸妓としては
温柔
(
おとな
)
し過ぎる事、
縹緻
(
きりょう
)
は十人並のポッチャリした方で、二十五だというのにお酌みたいに初々しい内気な女であった。
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「サア
温柔
(
おとな
)
しく温柔しく。あばれると高い処から取り落しますよ。落ちたら眼の玉が飛び出しますよ」
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
居
(
い
)
ッコタ
居
(
い
)
ッケンド、そんな奴等、テエゲ荒稼ぎダア。コットラ
温柔
(
おとな
)
しいもんだ……ヘヘヘ……」
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
却
(
かえっ
)
て何となく嬉しそうに注射器と澄夫の顔を見比べてニコニコしていたが、注射が済むと、何と思ったか急に
温柔
(
おとな
)
しく手を離して、伝六郎と一作に手を引かれながら
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そのあいまあいまにチエ子がこの頃は特別に
温柔
(
おとな
)
しくなった話をきかされたり、久し振りに
結
(
ゆ
)
ったという母親の
丸髷
(
まるまげ
)
を賞めて、高笑いをしたりしていたが、そのあげく
人の顔
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ことに世の中の
下積
(
したづみ
)
になった
温柔
(
おとな
)
しい人間が、思いがけない幸運に出会ったり、お
上
(
かみ
)
から御
褒美
(
ほうび
)
を戴いたりする場面にぶつかると彼は、人に気付かれるのを恐れるかのように
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
甚
(
はなは
)
だしいのになると或る
温柔
(
おとな
)
しい軍人が、片足を切断されると間もなく夢中遊行を起すようになって、自分でも知らないうちに、
他所
(
よそ
)
のものを盗んで来る事が
屡
(
しばしば
)
あるようになった。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その
中
(
うち
)
で三番目のリイは一番
温柔
(
おとな
)
しい児でしたが、ちいさい時に眼の病気をして、片っ方の眼がつぶっていましたので、二人の兄さんはメッカチメッカチとイジメてばかりおりました。
奇妙な遠眼鏡
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
香倶土三鳥
(著)
むろん船長の見込だけあって、腕は相当に立つし、
温柔
(
おとな
)
しくもあったが、しかし、その陰気臭い、妙に気取った二人の姿を見た最初から、水夫長は何となく「虫が好かない」と思った。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
温柔
(
おとな
)
しい女なので、或る待合の
女将
(
おかみ
)
が不憫がって、結局その方が行末のためだろうというので、金兵衛に世話したという話だったが、
非道
(
ひど
)
い奴で、金兵衛は愛子の人の好いのに付込んで
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
どこどこまでも
温柔
(
おとな
)
しい、日本婦人式に謹しみの深い天使のような殿宮夫人を、二重にも三重にも苦しめ
苛責
(
さい
)
なむのを、一つの秘密の楽しみにしてお出でになったのでしょう……イイエ。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
流石
(
さすが
)
に紅矢が自慢するだけあって、本当に
温柔
(
おとな
)
しく優しいには違いありませぬが、併しその美しさは
迚
(
とて
)
も妹の美紅や、又は美留藻自身の美しさとは比べものにならないと思いましたから
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
その時にはどんな気持ちがするだろう……なぞと、いろんな事を聯想しいしい、
温柔
(
おとな
)
しくうなずいて聞いていた。その叔父がどんな顔をしているか、早く会って見たいような気持ちもした。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
王君は
却
(
かえ
)
って御馳走をして帰すよ。脅喝に来た奴でも
温柔
(
おとな
)
しく
抓
(
つま
)
み出すばかりだからね。だから評判がいいんだがね。ウンウン。それから王君が同情してこの船を教えてくれた。フ——ン。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
現在(大正三年頃)玄洋社長をやっとる進藤喜平太は、その当時まあだ紅顔の美少年で、女のように静かな、
温柔
(
おとな
)
しい男じゃったが、イザとなるとコレ位、底強い、頼もしい男はなかった。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
極めて
温柔
(
おとな
)
しい文学青年の筆者と同列に可愛がったのが筆者の母親で、痛快な、男らしい意味では筆者よりも数十層倍、深刻な印象を、負けん気な母親の頭にタタキ込んでいる筈であるが
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
頭のステキにいい、何につけても器用な男で、人柄もごく
温柔
(
おとな
)
しい方だったので、
養父
(
ちち
)
の玄洋が惚れ込んでしまって、うちの養子にしようかなどと、
養母
(
はは
)
に相談した事も、ある位だったそうです
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
チエ子は不思議そうな顔をしいしい
温柔
(
おとな
)
しくうなずいた。そうしてその晩から、母親に丸薬をのまされて寝ることになったが、そのお蔭かして、あくる朝は割り合いに早く眼をさましたのであった。
人の顔
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかも本官の調査するところに依れば、生れ落ちると間もない頃から母親の手に抱かれている間だけ
温柔
(
おとな
)
しく、安らかに眠るに反して、他人が抱き取ろうとすると何もかもなく泣き出す習性がある。
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その中の銀色の
球
(
たま
)
の重たさを考えながら、静かに息をしていると、そのパンの固まりが妾の鼻の先で、浮き上ったり沈み込んだりする。その中で爆弾が
温柔
(
おとな
)
しくしている。そのたまらない気持ちよさ。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だから私は
温柔
(
おとな
)
しく体温器を受け取って
腋
(
わき
)
の下に挟んだ。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私が死ぬのが
厭
(
いや
)
なら
温柔
(
おとな
)
しく待っていらっしゃい
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
温
常用漢字
小3
部首:⽔
12画
柔
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“温柔”で始まる語句
温柔境
温柔郷
温柔姒媚