大人おとなし)” の例文
全くね、間はああ云ふ不断の大人おとなしい人だから、つまらない喧嘩けんかなぞを為る気遣きづかひはなし、何でもそれに違は無いのさ。それだから猶更なほさら気の毒で、何ともひやうが無い
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そこで代助は、あの大人しさは、羞耻はにかむ性質の大人おとなしさだから、ミスの教育とは独立に、日本の男女なんにょの社交的関係から来たものだろうと説明した。父はそれもそうだと云った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いいえ、大人おとなしい、沢山たんと口もきかない人、そして病人なの。」
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
といてぞはなしける徳太郎君は何となるべきと案じわづらひ給ひしにかくゆるされ蘇生そせいせし心地し這々はう/\ていにて和歌山へ立歸たちかへり此後は大人おとなしくぞなり給ひけるとなんかくて徳太郎君追々おひ/\成長せいちやうまし/\早くも十八歳になり給へり此年このとし加納將監江戸えど在勤ざいきん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこで代助は、あの大人おとなしさは、羞恥はにか性質せいしつ大人おとなしさだから、ミスの教育とは独立に、日本の男女の社交的関係から来たものだらうと説明した。ちゝはそれもうだと云つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)