温柔おとなし)” の例文
私はう云ふお転婆、米ちやんはの通りの温柔おとなしやでせう、ですけども、うしたわけかく気が合ひましてネ、始終しじゆう往来ゆききして姉妹きやうだいの様にして居たんですよ、あゝ云ふことになる晩まで
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
今まで友達と思っていた鼻が、生前の温柔おとなしさにも似ず余りに無法な方言をするのに驚かされて、巻き添いを喰いはしまいかという極度の恐怖から、かように正気を失ったものと察せられました。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
皆な新橋辺しんばしあたりのぢやありませんか——婦人をんな矢張やつぱり日本風の温柔おとなしいのがいなんて申してネ、自分が以前さかんに西洋風をとなへたことなど忘れて仕舞つて私にまで斯様こんな丸髷まるまげなどはせるんですもの
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)