“我家(うち)” の例文
遠くの方へ往った時は、主翁はどうも我家(うち)ではないなと思ったが、それが近くになるとやっぱり我家(うち)の二階らしいぞ、と思い直した。
鼓の音 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
なう、悪く取つてくれては困るよ、あれを嫁に遣るから、それで我家(うち)とお前との縁を切つて了ふと云ふのではない、可いかい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
老叟(らうそう)は靜(しづ)かに石を撫(な)でゝ、『我家(うち)の石が久(ひさし)く行方(ゆきがた)知(しれ)ずに居たが先づ/\此處(こゝ)にあつたので安堵(あんど)しました、それでは戴(いたゞ)いて歸(かへ)ることに致(いた)しましよう。』
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いえいえ決してそのような……両親が申しまするには一旦、蔵元屋とお約束が出来て、結納までも取交いた上は、斬られたお熊さんは我家(うち)の娘も同様。
「実はゆうべ、そっと、我家(うち)の外まで行って来ました。けれど、おふくろ様や姉の顔を、外から一目見ただけで、閾(しきい)は跨(また)がずにもどって来たんで……」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お座敷帰(がえり)に、我家(うち)の門(かど)から、奴(やっこ)に持たして出たんですがね。途中で威(おど)かしたもんだから、押放出(おっぽりだ)して遁(に)げたんですもの。ヒヤリとしたわよ、真二(まっぷた)つ。身上大痛事(おおいたごと)。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぐずぐずせずと酒もて来い、蝋燭(ろうそく)いじってそれが食えるか、鈍痴(どじ)め肴(さかな)で酒が飲めるか、小兼(こかね)春吉(はるきち)お房(ふさ)蝶子(ちょうこ)四の五の云わせず掴んで来い、臑(すね)の達者な若い衆頼も、我家(うち)へ行て清、仙、鉄、政
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さあ、一所(いつしよ)に、我家(うち)の日曜の朝の御飯。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「我家(うち)の旦那が急に気がちがって、化物(ばけもの)だ化物だと云って、奥様も、坊様(ぼっちゃま)も斬りました、どうか早く来てください」と周章(あわ)てて云った。
通魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
小兼春吉お房蝶子四の五の云はせず掴むで来い、臑(すね)の達者な若い衆頼も、我家(うち)へ行て清、仙、鐵、政、誰でも彼でも直に遊びに遣(よ)こすやう、といふ片手間にぐい/\仰飲(あふ)る間も無く入り来る女共に
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
と浴びせたのは、稲葉家の我家(うち)へ曲る火の番の辻であった。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さあ、一所(いつしよ)に、我家(うち)の日曜の朝の御飯。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「よし明日は勘右衛門に頼んで我家(うち)から三十目足して、六十目にして、通西軒と瑞光寺とに三十目ずつ収めて、供養をしてやろう」
蠅供養 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
我家(うち)の様な家(いへ)の御飯はね
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「悴は嫁をもらってるのに、やっぱり年よりに世話をかける、他家(よそ)では、嫁が姑に仕えるが、我家(うち)では、姑が嫁に仕えるのだから」
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「もう、爺親(ちゃん)も帰って来るから、我家(うち)へ往って待っていな」などと云って、小供を伴(つ)れて往って、カンテラに燈(ひ)を点(つ)けて帰った。
車屋の小供 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「僕が宰相になったなら、張兄を南方の巡撫にし、中表(いとこ)を参軍にしよう、我家(うち)の年よりの僕(げなん)は小千把(しょうせんは)になるさ、僕の望みもそれで足れりだ」
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼はもう池の傍をまわるのを諦(あきら)めて帰りかけたが、すぐ我家(うち)へ帰って寝る気になれないので、郵便局の傍の肉屋にいる女のことを考えながら歩いた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お伴れするにしても、私の家の裏門は、河に向っておりますので、船からでなくちゃ入れませんし、そして、我家(うち)の婢と云うのは、どんな女でしたでしょう
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
柳橋(やなぎばし)の船宿(ふなやど)の主翁(ていしゅ)は、二階の梯子段(はしごだん)をあがりながら、他家(よそ)のようであるがどうも我家(うち)らしいぞ、と思った。二階の方では、とん、とん、とん、と云う小鼓(こつづみ)の音がしていた。
鼓の音 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お婆さんが我家(うち)に来ないもんじゃから、我家の作造が心配して、お婆さんは何か私に気に入らないことがあって、それで来ないかも判らん、よくお婆さんの腹を聞いてくれ
地獄の使 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「それは、お前が、あまり思うているから、夢を見たろうが、もう諦(あきら)めて我家(うち)へ帰るが好い」
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「どこへ往く、我家(うち)は流れたから、小屋がけをしておる、ここじゃよ」と、漁師は云った。
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
寝ていた本家を起して、すこし都合があるからと、預けてあった金の中から五十両を無理から貰って、急いで我家(うち)へ帰って来た老婆は、仏壇の間へ入るとともに驚きの声を立てた。
地獄の使 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それで我家(うち)を豊かにしていいわけにしたのです、だけど、貧乏人が金持になろうとするのはむつかしくっても、金持が貧乏になろうとするのは、わけのないことなのです、私の金は
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
我家(うち)へ往って婆さんに話せば、それ位の金は出来ると云うから、それで二人で来てやったが、すぐその金が出来るのか、他とちがって地獄から来た者じゃ、べんべんと長くは待たれない
地獄の使 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その盗人を探索しているところなのだ、宣には気の毒だがしかたがない、我家(うち)から訴えて出よう、これが他から知れようものなら、一家の者は首がない、こいつは豪(えら)いことになったものだ
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「我家(うち)がこうしていけるのも、神様のおかげだ、おろそかに思ってはならない」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その盗人を探索しているところなのだ、宣には気の毒だがしかたがない、我家(うち)から訴えて出よう、これが外から知れようものなら、一家の者は首が無い、こいつは豪(えら)いことになったものだ
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
店へ執(と)っている二三種の新聞に眼をとおしたり、我家(うち)へ来る客の話に耳を傾けたりして、己(じぶん)の追い込んだような結果になった水死の小女(こむすめ)の噂に注意していたが、四五日してもそんな噂はなかった。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
細面(ほそおもて)の姝(きれい)な女でした、その女が、下谷(したや)に住んでいる旗本(はたもと)の三男に見染(みそ)められて、たってと所望(しょもう)されて、そこに嫁に往ったところが、その男がすぐ病(やまい)で亡くなったので、我家(うち)へ帰って来ているうちに
鼓の音 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「どこへ往く、どこへ往く、我家(うち)はここじゃないか」
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)