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楼
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うち
ふりがな文庫
“
楼
(
うち
)” の例文
旧字:
樓
「
紺屋
(
こうや
)
じゃあねえから
明後日
(
あさって
)
とは
謂
(
い
)
わせねえよ。
楼
(
うち
)
の
妓衆
(
おいらん
)
たちから三
挺
(
ちょう
)
ばかり来てる
筈
(
はず
)
だ、もう
疾
(
とっ
)
くに出来てるだろう、大急ぎだ。」
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百歳はその晩、警察で制服を和服に着換へて女の
楼
(
うち
)
に行った。女達は暴風雨の来る前の不安で、何かしら慌だしい気分になって居た。
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
四、五人の禿新造に取り巻かれて、奥のとある
楼
(
うち
)
から今しがた出て来た兜町らしい男を見ると、伝二郎は素早く逃げ出そうとした。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
机の
抽斗
(
ひきだし
)
を開けてみると、学校のノートらしいものは一つもなかった。その代りに手帳に吉原の
楼
(
うち
)
の名や
娼妓
(
しょうぎ
)
の名が列記されてあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
店へも出られないので流し元を働いておりましたが子供の時分から此の
楼
(
うち
)
におりますので、
馴染
(
なじん
)
では居るし、人情ですから駈出して来て
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
楼
(
うち
)
のものも皆注意しぬいていたんだがな、ナニその男は商売も何もありゃあしないんだ、先に牛乳配達なんかした事のある男だって話だが……
ある遊郭での出来事:公娼存廃論者への参考資料としての実例
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
「私たちは今そこで偶然富井さんに行きあったのです。そしてずいぶんそこらの
楼
(
うち
)
を
訪
(
たず
)
ねたのです。」とフェレラはいった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「二三度一座なすつたでせう。あの
楼
(
うち
)
ではお
職株
(
しよくかぶ
)
ですの。もう本気になつて、松田さん松田さんつて、しよつちうのろけちらして居るんです。」
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
私しゃ花魁買いということを知ッたのは、お前さんとこが始めてなんだ。私しは他の
楼
(
うち
)
の味は知らない。遊び納めもまたお前さんのとこなんだ。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
不図
(
ふと
)
自分の部屋の障子がスーと
開
(
あ
)
いて、廊下から
遊女
(
おいらん
)
が一人入って来た、見ると自分の
敵娼
(
あいかた
)
でもなく、またこの
楼
(
うち
)
の者でも、ついぞ見た事のない女なのだ。
一つ枕
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
「あ、
因業
(
いんごう
)
佐野喜の
親爺
(
おやじ
)
か、この春の火事で、女を三人も焼き殺した
楼
(
うち
)
だ。
下手人
(
げしゅにん
)
が多すぎて困るんだろう」
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
茜染
(
あかねぞめ
)
の暖簾や、紋を染めぬいた浅黄の暖簾などもある。或る
楼
(
うち
)
の暖簾には、鈴がついて、客が割って入ると、
鈴
(
すず
)
の
音
(
ね
)
を聞いて、遊女たちが、窓格子まで寄って来た。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
様子を聞いていると、どうやらこの
楼
(
うち
)
へ
直接談判
(
じかだんぱん
)
をして、この一隊が登楼しようとする。店ではなんとか言葉を設けて、それを謝絶しようとしているものらしく聞えます。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それでも
此方
(
こち
)
どもの
頭
(
つむり
)
の上らぬはあの物の御威光、さりとは欲しや、
廓内
(
なか
)
の大きい
楼
(
うち
)
にも大分の貸付があるらしう聞きましたと、大路に立ちて二三人の女房よその
財産
(
たから
)
を数へぬ。
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
心中があった
楼
(
うち
)
の前には、所轄署の巡査が立っていたので、すぐそれと分かりました。
島原心中
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
楼
(
うち
)
へ帰ってからその主人は、
三月
(
みつき
)
ほど
病
(
わずら
)
いました。
病
(
わずら
)
ったなり死んでしまいました。
夜釣の怪
(新字新仮名)
/
池田輝方
(著)
或る
楼
(
うち
)
へ遊びに行ったら、正太夫という人が度々遊びに来る、今晩も来ていますというゆえ、その正太夫という人を是非見せてくれと頼んで、
廊下鳶
(
ろうかとんび
)
をして障子の
隙
(
すき
)
から
窃
(
そっ
)
と
覗
(
のぞ
)
いて見たら
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「
楼
(
うち
)
か、楼は、ええと笹屋だ」
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その金銭だけは持って行ってやらなければと考へて、その月の俸給を貰った晩、彼はそっと一人で、その女の居る
楼
(
うち
)
に行った。
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
お庄は叔母から、叔父の上る
楼
(
うち
)
まで行って突き留めなければ駄目だと言われたことを
憶
(
おも
)
い出して、しばらく押し問答していた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その抱え主の
楼
(
うち
)
では、死者の借金が無になる
許
(
ばか
)
りでなく、連想を忌んで、当分その家へ遊びにゆくものがなくなり、ぱったり客足が絶えてしまうので、一家の浮沈
ある遊郭での出来事:公娼存廃論者への参考資料としての実例
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
その日も一挺紛失さ、しかしそりゃ浮舟さんの
楼
(
うち
)
のじゃあねえ、確か
喜怒川
(
きぬがわ
)
の緑さんのだ、どこへどう間違って
行
(
ゆ
)
くのだか知れねえけれども、
厭
(
いや
)
じゃあねえか、恐しい。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さア。貴様はおとなしく
楼
(
うち
)
へ帰れ。な。親方は心配してら。大事な玉が
遁
(
に
)
げちやつたつて。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「初めて来たと仰っしゃいましたが、今、はいった
楼
(
うち
)
の遊女の中で、先生の姿を見ると、声を出して
屏風
(
びょうぶ
)
の陰へ、顔をかくした女があった。もう泥を吐いておしまいなせえ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今夜も
懶
(
なま
)
けものの癖として品川へ
素見
(
ひやかし
)
にまいり、元より恵比寿講をいたす気で
某
(
ある
)
楼
(
うち
)
へ
登
(
あが
)
りましたは宵の口、
散々
(
さんざ
)
ッ
腹
(
ぱら
)
遊んでグッスリ遣るとあの火事騒ぎ、
宿中
(
しゅくじゅう
)
は
鼎
(
かなえ
)
の
沸
(
わ
)
くような塩梅しき
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
楼
(
うち
)
は、この通りに立ち並んでいる粗末な二階家の一つでした。
島原心中
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
冷遇
(
ふッ
)
て冷遇て
冷遇
(
ふり
)
抜いている客がすぐ前の
楼
(
うち
)
へ
登
(
あが
)
ッても、他の花魁に見立て替えをされても、
冷遇
(
ふッ
)
ていれば
結局
(
けッく
)
喜ぶべきであるのに、外聞の意地ばかりでなく、
真心
(
しんしん
)
修羅
(
しゅら
)
を
焚
(
もや
)
すのは遊女の
常情
(
つね
)
である。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
始終遊びつけた家では、相手の女が二月も以前にそこを出て、
根岸
(
ねぎし
)
の方に世帯を持っていた。笹村はがらんとしたその
楼
(
うち
)
の
段梯子
(
だんばしご
)
を踏むのが
慵
(
ものう
)
げであった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「おい、奥間巡査、その妹を参考人として訊問の必要があるから、君、その
楼
(
うち
)
へ行って同行して来給へ。」
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
「さア。貴様はおとなしく
楼
(
うち
)
へ帰れ。な。親方は心配してら。大事な玉がにげちゃったって。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
けれども、
楼
(
うち
)
なり、場所柄なり、……余り綺麗なので、初手は
物凄
(
ものすご
)
かったのでございます。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それで安直
店
(
みせ
)
と来ていますから滅法な流行りかた、この
楼
(
うち
)
に
小主水
(
こもんど
)
と呼ばれて全盛な娼妓がある、生れはなんでも
京阪
(
けいはん
)
地方だと申すことで、お客を
大切
(
だいじ
)
にするが一つの
呼
(
よび
)
ものになっています。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ここの
楼
(
うち
)
に、宮本武蔵様が来てるだろ。武蔵様は、おいらのお師匠さまだから、城太郎が来たっていえば分るんだけれど、取次いでくれないか。それでなければ、ここへ呼んでくれないか」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幕府の時分旗本であった人の
女
(
むすめ
)
で、とある
楼
(
うち
)
に身を沈めたのが、この近所に長屋を持たせ
廓
(
くるわ
)
近くへ引取って、病身な母親と、長煩いで腰の立たぬ父親とを貢いでいるのがあった。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それでもその当座、
託
(
あず
)
けてあった氷屋の神さんに、二度ばかりあの
楼
(
うち
)
へつれて来てもらったことがあったよ。私も一度行きましたよ。もちろん母親だなんてことは、
噯
(
おくび
)
にも出しゃしなかったの。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「あんな
楼
(
うち
)
に、泊れるか。……おい、もういちど、角屋へ行ってみよう」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泥々に酔って二階へ押上って、つい
蹌踉
(
よろ
)
けなりに
梯子段
(
はしごだん
)
の欄干へつかまると、ぐらぐらします。屋台根こそぎ波を打って、下土間へ
真逆
(
まっさか
)
に落ちようとしました……と云った
楼
(
うち
)
で。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
抱え主は十八、九になる
子息
(
むすこ
)
と年上の醜い内儀さんとを置去りにして、二人で相当な
商
(
あきな
)
いに取り着けるほどの金を
浚
(
さら
)
って、女をつれて逃げて来た。そのころにはその
楼
(
うち
)
も大分左前になっていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「これで、あそこの
楼
(
うち
)
の
内緒
(
ないしよ
)
も、知れたもんだ……」
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
溌
(
ぱっ
)
としちゃあ、お客にまで気を悪くさせるから伏せてはあろうが、お前さんだ、今日は剃刀を
扱
(
つか
)
わねえことを知っていそうなもんだと思うが、
楼
(
うち
)
でも気がつかねえでいるのかしら。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何でも持って来いという意気
造
(
づくり
)
だけれども、この
門札
(
かどふだ
)
は、さる
類
(
たぐい
)
の者の看板ではない、とみというのは方違いの北の
廓
(
くるわ
)
、京町とやらのさる
楼
(
うち
)
に、
博多
(
はかた
)
の男帯を
後
(
うしろ
)
から廻して、前で挟んで
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
折から洲崎のどの
楼
(
うち
)
ぞ、二階よりか三階よりか、海へ
颯
(
さっ
)
と打込む太鼓。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“楼”の意味
《名詞》
(ロウ)高い建物。
《名詞》
(たかどの)高い建物。
(出典:Wiktionary)
楼
常用漢字
中学
部首:⽊
13画
“楼”を含む語句
青楼
蜃気楼
鐘楼
楼上
酒楼
妓楼
高楼
望楼
登楼
楼主
此楼
楼婢
当楼
城楼
楼門
楼台
殿楼
観潮楼
金瓶楼
亀清楼
...