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ふりがな文庫
“
衷
(
うち
)” の例文
何ぞわが諸〻の願ひを滿たさゞる、もしわが汝の
衷
(
うち
)
に入ること汝のわが衷に入るごとくならば、我
豈
(
あに
)
汝の問を待たんや。 七九—八一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
基督の信は、常に
衷
(
うち
)
に神を見、神の声を
聴
(
き
)
けるより来たり、ポーロの信は、其のダマスコ途上驚絶の天光に接したるより
湧
(
わ
)
き出でたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
ああわが魂よ、汝何ぞうなだるるや、なんぞわが
衷
(
うち
)
に思い乱るるや、汝神を待ち望め、われに
聖顔
(
みかお
)
の助けありて我れなおわが神を
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そして少女が若しあなたの愛に
酬
(
むく
)
いるならば、その時あなたはその少女をあなたの
衷
(
うち
)
に奪い取り、少女はまたあなたを彼女の衷に奪い取るだろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一切の
人慾
(
じんよく
)
、一切の理想が恐ろしい火の如く
衷
(
うち
)
に燃えて
闘
(
たたこ
)
うた先生には、
灰色
(
はいいろ
)
にぼかした生や死は問題の外なのです。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
確かに、彼の最後の幾つかの
弦四重奏曲
(
クワルテット
)
は奇妙な
翳
(
かげ
)
に充ちている。とはいえ『第九交響曲』の勝利は彼の
衷
(
うち
)
に、消えざる輝きの刻印を残したようである。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
美術というものは元来人間の想像の
華
(
はな
)
である。その根本は装飾の意志本能にある。美術とは世界の装飾にあるともいえる。美は外界にはない、人間の心の
衷
(
うち
)
にある。
想像と装飾の美:それを持つ特殊の個性によって生かさるべし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
世にも強きは自ら是なりと信ずる心なり。腹立たしきは、あるいは人よりあるいはわが
衷
(
うち
)
なるあるものよりわが非を示されて、われとわが良心の前に悔悟の
膝
(
ひざ
)
を折る時なり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
彼女の血液の
衷
(
うち
)
の若さは、近頃ひどく
涸
(
か
)
れて来ていた。この血液の衷から
渇
(
かわ
)
いて行くものを補うために、彼女はいろいろなものを試みた。例えば「精壮」とか「トツカピン」とか。
指
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
しかるに突然珍客ありて、告ぐるに金時計を還さん事をもってせり。へいげんは快然
愁眉
(
しゅうび
)
を開きしが、省みれは
衷
(
うち
)
に
疚
(
やま
)
しきところ無きにあらず。もし彼にして懸賞金百円を請求せんか。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ、そのあとから、
黙然
(
もくねん
)
と追従してゆく紋太夫のすがたには、いかに冷静を誇示して見せても、
蔽
(
おお
)
い得ないものがあった。かれの
面
(
おもて
)
と胸の
衷
(
うち
)
とは、ちょうど
土用波
(
どようなみ
)
のようなものだった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われらの
衷
(
うち
)
なる道徳律と、われらの上なる、星辰の輝く空! カント‼ (一八二〇年)〔(右の手記原文はライツマンの『ベートーヴェン』による。同書については本書二百二頁参照——訳者)
ベートーヴェンの生涯:07 ベートーヴェンの『手記』より(訳者抄)
(新字新仮名)
/
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(著)
私の
衷
(
うち
)
を
幽
(
かす
)
かな
怖
(
おそ
)
れと悲しみが疾風のごとく走つた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
それは
衷
(
うち
)
へ
衷
(
うち
)
へと音もなく逆流するのだ
洪水のように
(新字新仮名)
/
徳永保之助
(著)
わが神よわがたましいはわが
衷
(
うち
)
にうなたる
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
衷
(
うち
)
なる
靈
(
たま
)
の
疾風
(
あらし
)
の
行方
(
ゆくへ
)
いづこ
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
我が
衷
(
うち
)
に君の在るを。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
かれの姿を見るに及び、わが
衷
(
うち
)
あたかもかのグラウコが己を海の神々の侶たらしむるにいたれる草を味へる時の如くになりき 六七—六九
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
我らより熱誠なる
祈
(
いのり
)
の出ずる時、神はその大なる
御手
(
みて
)
を伸ばして海を制し給う。かくて我らの
衷
(
うち
)
の海は止まるのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
かくして私の愛が深く善くなるに従って、私はより多くを愛によって摂取し、摂取された凡てのものは、あるべき排列をなして私の
衷
(
うち
)
に同化されるだろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼に近づいていた同時代者らのうちの最も聡明な人々は、
共感
(
サムパチー
)
から得た洞察力によって、ベートーヴェンの
衷
(
うち
)
なるこの偉大な献身の劇を十分よく認識していた。
ベートーヴェンの生涯:06 付録 ベートーヴェンへの感謝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
但だ予は
此
(
か
)
くの如くに神を見、而してこれより
延
(
ひ
)
いて天地の間の何物を以てしても換へがたき光栄無上なる「吾れは神の子なり」てふ意識の
欝
(
うつ
)
として
衷
(
うち
)
より湧き出づるを覚えたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
而して到頭自己に帰りました。「
盍反其本
(
なんぞそのもとにかえらざる
)
」で、
畢竟
(
ひっきょう
)
其本に、自己に、わが
衷
(
うち
)
に
在
(
いま
)
す神、やがてすべてに在す神——に帰ったのであります。帰れば其処が故郷でした。安住の地でした。私の母の歌に
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あゝたゞ行ひを見るのみならで、その智よく
衷
(
うち
)
なる思ひをみる者と共にある人心を用ふべきこといかばかりぞや 一一八—一二〇
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
実生活の
波瀾
(
はらん
)
に乏しい、孤独な道を踏んで来た私の
衷
(
うち
)
に、思いもかけず、多数の個性を発見した時、私は眼を見張って驚かずにはいられなかったではないか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
嗚呼これを望みてわが心
衷
(
うち
)
に
焦
(
こが
)
る。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
汝の
癒
(
いや
)
しゝわが魂が汝の
意
(
こゝろ
)
にかなふさまにて肉體より解かるゝことをえんため、願はくは汝の賜をわが
衷
(
うち
)
に
護
(
まも
)
れ。 八八—九〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
自分を信じていいのか悪いのかを決しかねて、たくましい意志と冷刻な批評とが互いに
衷
(
うち
)
に戦って、思わず知らずすべてのものに向かって敵意を含んだ君のあの面影だった。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
クレーチの
名折
(
なをれ
)
偃
(
ふ
)
しゐたり、彼我等を見て己が身を噛みぬ、そのさま
衷
(
うち
)
より怒りにとらはれし者に似たりき —一五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
かく高き地位をえて心なほしづまらず、またかの生をうくる者さらに高く
上
(
のぼ
)
るをえざるをみたるがゆゑにこの生の愛わが
衷
(
うち
)
に燃えたり 一〇九—一一一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
かかればたとひ汝等の
衷
(
うち
)
に燃ゆる愛みな必須より起ると見做すも、汝等にはこれを
抑
(
おさ
)
ふべき力あり 七〇—七二
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
汝等の
會得
(
ゑとく
)
の力は印象を實在よりとらへ來りて汝等の
衷
(
うち
)
にあらはし魂をこれにむかはしむ 二二—二四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
衷
常用漢字
中学
部首:⾐
9画
“衷”を含む語句
衷心
苦衷
衷情
微衷
折衷
和洋折衷
折衷説
折衷式
鄙衷
衷裡
衷甸兩牡
衷甸両牡
衷甸
聖衷
江木衷
折衷料理
折衷尺
折衷主義
意衷
心衷
...