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自宅
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うち
ふりがな文庫
“
自宅
(
うち
)” の例文
主人も行くがいいと勸め、我々
兩人
(
ふたり
)
もたつてと言つたのだが、
妾
(
わたし
)
はそれよりも
自宅
(
うち
)
で寢て居る方がいいとか言つて
終
(
つひ
)
に行かなかつた。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
自宅
(
うち
)
にいると皮肉やで毒舌で、朝から晩まで女房に口小言をいっている藤木さんも、アンポンタンには
馴染
(
なじみ
)
深い面白い大人だった。
旧聞日本橋:11 朝散太夫の末裔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この人は
自宅
(
うち
)
に居る折は、座敷に
胡座
(
あぐら
)
をかいたまゝ、すぐ手をのばしたら
達
(
とゞ
)
きさうな巻煙草一つ、自分からは手にとらうとしなかつた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
自宅
(
うち
)
へも寄らずにその足で海老床へ駈けつけた勘次は、案の定暢気そうな藤吉を見出してそのまま
躙
(
にじ
)
り寄ると何事か耳許へ囁いた。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
電話室へ入って、東京の
自宅
(
うち
)
の様子を聞くことのできたのは、それから大分たってからであった。小野田はまだ帰っていなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
直ぐ口を明けて見たかったけれど、
先
(
ま
)
ア後の事と、せっせと朝飯の仕度をしながら「え、四五日どころか
自宅
(
うち
)
なら十日もあるよ」
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「おかしいですね。妻は……久美子は今朝から教会の会報を書くのだと言って何処へも行きません。無事に
自宅
(
うち
)
におりましたが」
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「なんですよ、あんまり
貴方
(
あなた
)
の評判がいゝもんですから、さういふ方ならぜひ一度
自宅
(
うち
)
でも診ていたゞきたいと思ひましてね」
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
はやくから、ここに気がついたなら、むやみに人を
恨
(
うら
)
んだり、
悶
(
もだ
)
えたり、苦しまぎれに
自宅
(
うち
)
を飛び出したりしなくっても済んだかも知れない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今頃
自宅
(
うち
)
へ行っても居ないことを知っているので、林之助はお絹を東両国の小屋にたずねると、お絹もお君も見えなかった。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「わたくしも、せめてこの一月なり
自宅
(
うち
)
に戻って楽々としていたら、このような病い、じきに
癒
(
なお
)
ろうと思いますが——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
決して間違ったことは致しません。其手拭は、確に
自宅
(
うち
)
のです。出掛る前には何処にあったか、覚えは在りません。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
自宅
(
うち
)
へ帰って来た紋太郎はニヤニヤ笑いを洩らしている。皮肉の笑いとも受け取られ笑止の表情とも見受けられる。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大原伝蔵は先夜、偶然途上で谷村夫人に逢い、御主人にすこし面倒な細工を頼んで貰いたいから、一寸一しょに
自宅
(
うち
)
まで来て下さいといったのである。
謎の咬傷
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
亡くなつた老母がまだ存命ちゆうの頃のことでな——
戸外
(
そと
)
では
酷寒
(
マローズ
)
がぴしぴしと音を立てて、
自宅
(
うち
)
の狭い窓をこちこちに凍てつけるやうな冬の夜長の頃
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「電話位掛ける
筈
(
はず
)
だが……」浅田は給仕をよんで
訊
(
たず
)
ねたが、
自宅
(
うち
)
から何にもいって来ないというので、念の為に電話をかけて見ると、妻は不在であった。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
慚愧
(
ざんき
)
に堪へないのだ、彼は今や小松内府の窮境に
在
(
あ
)
るのだ、今頃は、君、
自宅
(
うち
)
の書斎で涙に暮れて祈つてるヨ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「精霊どの!」と、スクルージは云った、「もう見せて下さいますな!
自宅
(
うち
)
へ連れて行って下さいませ。どうして貴方は私を苦しめるのが面白いのですか。」
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
奴さん
自暴自棄
(
やけくそ
)
になって、もと往ったことのある
烏森
(
からすもり
)
の
待合
(
まちあい
)
へ往って、女を
対手
(
あいて
)
にして酒を飲んでいたが、それも面白くないので、十二時
比
(
ころ
)
になって
自宅
(
うち
)
へ帰ったさ
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
終日駈けずり𢌞つてゐた十風は朝から晩迄
自宅
(
うち
)
にごろ/\して癇癪ばかり起してゐるやうになつた。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「どうしたんですか。何となく挙動が怪しいぞ! まさか、
自宅
(
うち
)
では芝居はないでせうに。」
趣味に関して
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「園長はそんなとき、帽子も上衣も着ないでお
自宅
(
うち
)
にも云わず、ブラリと出掛けるのですか」
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は満身の勇気を奮いおこして、柄にもないこの
気怯
(
きおく
)
れに
打克
(
うちか
)
とうとした。そして結局夜遊びから
自宅
(
うち
)
へ帰って来た男のような、気安い歩調でつかつかと隣室へ入って行った。
空家
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
今夜來て呉れるとは夢の樣な、ほんに心が屆いたのであらう、
自宅
(
うち
)
で甘い物はいくらも喰べやうけれど親のこしらいたは又別物、奧樣氣を取すてゝ今夜は昔しのお關になつて
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と同時に、
狼籍者
(
ろうぜきもの
)
は雲を霞と逃げ失せて、肋と頤へ怪我をした又七は、ようよう溝から這い出して、折柄通りかかったあの若造に助けられて
自宅
(
うち
)
へ帰り着いたというのである。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
えい? わたくしなぞはこれから
自宅
(
うち
)
へ
帰
(
けえ
)
って、やッと——その、な——熱いのにありつけるかと思ってますのでげすが、な、かかアがその用意をしてあるかどうかも分りません
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
休んで
自宅
(
うち
)
に
燻
(
くすぶ
)
っていると、喧しく寄席から迎えがきた。どうしても今夜出てくれ、と。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
流水は築地の
自宅
(
うち
)
へ歸る處だからと云つて自分と連立つて一緒に話しながら歩く。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
暫く
自宅
(
うち
)
を明けましたので、母も心配致して手紙をよこし、それ故
一寸
(
ちょっと
)
立帰って参りましたが、お前さんの事が気になって、何うも
私
(
わたくし
)
は
宅
(
うち
)
にも居られないひょっとして
私
(
わたくし
)
が遅く来まして
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それに、アアミンガアドは急に呼ばれて、二三週間
自宅
(
うち
)
に帰っていましたので、忘れられるのがあたりまえだったのです。彼女が学校へ帰って来た時には、セエラの姿は見えませんでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
今試験をしておりますが、
昨日
(
きのう
)
自宅
(
うち
)
で
眩
(
めまい
)
がしましたから、今日ももしやそんなことでもないかと思って、ここに待っております。まさかの時には
連
(
つ
)
れて帰るつもりで、
俥
(
くるま
)
を頼んで
参
(
まい
)
りました。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
自宅
(
うち
)
にて教授をする時に
妾
(
わたし
)
の
僅
(
わず
)
かなるたくわえにて
購
(
あがな
)
いしもので、二面共に
妾
(
わたし
)
にとっては忘る
可
(
べか
)
らざる
紀念
(
きねん
)
の品である、のみならず、この苦しく悲しき
長
(
なが
)
の月日のこの
中外
(
うちそと
)
を慰めたのもこの品
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
自宅
(
うち
)
へは、つまり亡父が雇われていた主人の家へは、およそ一週一度ぐらい姿を見せたが、冬分は毎日やって来た。しかし、それもほんの夜だけで、入口なり牛部屋なりで泊ってゆくのであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「傷口を洗う
焼酎
(
しょうちゅう
)
はあるか。なくば
自宅
(
うち
)
から取って来るが」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
李剛
自宅
(
うち
)
へ行くと何かあるようだが——。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
「ここが
自宅
(
うち
)
の田だ。」という。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
自宅
(
うち
)
から心配して迎えに来た忠義な手代に会いは会うても、大阪という処が、どこかに在りましたかなあという顔をしていた。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その上坑夫と聞いた時、何となく
嬉
(
うれ
)
しい心持がした。自分は第一に死ぬかも知れないと云う決心で
自宅
(
うち
)
を飛出したのである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
銀之助は
静
(
しづ
)
に
分
(
わか
)
れて
最早
(
もう
)
歩くのが
慊
(
いや
)
になり、車を飛ばして
自宅
(
うち
)
に帰つた。遅くなるとか、
閉
(
し
)
めても
可
(
い
)
いとか
房
(
ふさ
)
に言つたのを忘れて
了
(
しま
)
つたのである。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「前田めが、きい/\騒ぎ立てるので、つい
自宅
(
うち
)
の患者までが殖えるやうだ。もつと我鳴り立てて呉れるといゝがな。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お里はその女の遠縁に当るので、おととしの夏場から手伝いに頼まれて、外神田の
自宅
(
うち
)
から毎晩かよっているが、内気の彼女は余りそんな稼業を好まない。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もっとも、現代でも、よく似た話があるもので——ある方が、会社で上役と喧嘩をして、帰りにカフェーで気焔をあげて
自宅
(
うち
)
へ帰ったら、速達がきていた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ところがある晩、祝い事があるというので、この大屋さん、店子一同を
自宅
(
うち
)
へ
招待
(
よ
)
んでご馳走したそうで。とそこへ
新鋳
(
しんぶき
)
の小判十枚が届けられて来たそうです。
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
東京の
自宅
(
うち
)
の方へ、時々無心の手紙などを書いていた壮太郎が、何の
手応
(
てごたえ
)
もないのに気を腐らして、女から送って来た金を旅費にして、これもこの町を立って行ったのは
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
今夜来てくれるとは夢の様な、ほんに心が届いたのであらう、
自宅
(
うち
)
で
甘
(
うま
)
い物はいくらも喰べやうけれど親のこしらいたは又別物、奥様気を取すてて今夜は昔しのお関になつて
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私はその時、
購
(
あがな
)
つた
繪雙紙
(
ゑざうし
)
をもつてゐたので差上げたらば、大層よろこばれて、
自宅
(
うち
)
にはなかつたので、母が——松崎大尉未亡人が非常によろこび、懷しがつたとお禮を申された。
日本橋あたり
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
自宅
(
うち
)
では大方寢臺の上でごろごろしてゐた。それから非常に美しい詩を一つ寫した。
狂人日記
(旧字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
自宅
(
うち
)
から寄席までワザと泥んこのなかばかり選りつつ歩いて草鞋を泥々にし、その泥草鞋のまんま高座へ上がっていたら、びっくり仰天して席亭、これも言うだけの金を貸してくれた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
恐ろしい君子があつたもんだ、
芸妓買
(
げいしやかひ
)
を
行
(
や
)
つて、自由廃業をさせて、借金を踏み倒ほさして、
自宅
(
うち
)
へ引きずり込んで、其れで道徳堅固な君子と言ふんだ、成程
耶蘇教
(
ヤソけう
)
と云ふものは
偉
(
え
)
らいもんだ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
自宅
(
うち
)
でもいゝつて言ひますから今日はお伴させて下さい、といふ。それはよかつたと私も思つた。今日はこれから九里の山奧、越後境
三國
(
みくに
)
峠の中腹に在る
法師
(
ほふし
)
温泉まで行く事になつてゐたのだ。
みなかみ紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
“自宅”の意味
《名詞》
自宅(じたく)
自分の(個人的な)家。
(出典:Wiktionary)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
宅
常用漢字
小6
部首:⼧
6画
“自宅”で始まる語句
自宅着