或日、趣味に関して人に問はれた。 稍暫く私は、堅く首を傾けて忠実に沈思した——結局、酒なのか?と訊ねられた。それも私は、烏耶無耶に、否定するほどの気力もなく、何となくかぶりを振るだけのことだつた。私は困つて、私のこの殺風景な居室を見ながら、 …
著者 | 牧野信一 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「太陽 第三十三巻第三号(三月号)」博文館、1927(昭和2)年3月1日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約8分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約13分(300文字/分) |