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うち
ふりがな文庫
“
中
(
うち
)” の例文
二月になって、もとのように神田の或中学校へ通ったが、一週間たたぬ
中
(
うち
)
またわるくなって、今度は三月の末まで起きられなかった。
十六、七のころ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さればわが
昨日
(
きのふ
)
遙かに
御嶽
(
おんたけ
)
の秀絶なる姿を群山
挺立
(
ていりつ
)
の
中
(
うち
)
に認めて、雀躍して
路人
(
ろじん
)
にあやしまるゝの狂態を演じたるもまた
宜
(
むべ
)
ならずや。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
宗俊の語の
中
(
うち
)
にあるものは懇請の情ばかりではない、お
坊主
(
ぼうず
)
と云う階級があらゆる大名に対して持っている、
威嚇
(
いかく
)
の意も
籠
(
こも
)
っている。
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
で、どこまで一所になるか、……
稀有
(
けう
)
な、妙な事がはじまりそうで、
危
(
あぶな
)
っかしい
中
(
うち
)
にも、内々少からぬ期待を持たせられたのである。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平等主義に対する二つの決定的な反対論の
中
(
うち
)
、その一つは、経験上からも理論上からも、平等の状態は、人間本来の怠惰性を克服し
人口論:03 第三篇 人口原理より生ずる害悪を除去する目的をもってかつて社会に提案または実施された種々の制度または方策について
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
▼ もっと見る
日ならずして、彼は二三の友達を
拵
(
こしら
)
えた。その
中
(
うち
)
で最も親しかったのはすぐ前の医者の宅にいる彼と同年輩ぐらいの
悪戯者
(
いたずらもの
)
であった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
別して巣林子の著作の
中
(
うち
)
に恋愛の恋愛らしきもの甚だ
尠
(
すく
)
なきを悲しまざるを得ず。
蓋
(
けだ
)
し其の
爰
(
こゝ
)
に到らしめしもの諸種の原因あるべし。
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
平次の顔を見ると、あわてて神妙な様子を見せる手代の文三郎は、この騒がしい空気の
中
(
うち
)
には、とにもかくにも不思議な存在でした。
銭形平次捕物控:089 百四十四夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なぞと考えまわす
中
(
うち
)
に、元来屈託のない平馬は、いよいよ気安くなって五六本を傾けた。
鯉
(
こい
)
の洗い、木の芽
田楽
(
でんがく
)
なぞも珍らしかった。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
千早、赤坂、吉野の
中
(
うち
)
、赤坂、吉野は落ちたが、千早城のみは、賊の大軍に囲まれながら、金剛山に因んで、金剛
不壊
(
ふゑ
)
の姿を示した。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「どうせそんなのは、学校では出来ない学生なのですよ」こう云って、心の
中
(
うち
)
には自分の所へ、いつも来る学生共の事を考えている。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と、留学中の総決算をする積りで、腹の
中
(
うち
)
で
彼地
(
あつち
)
であつた色々の事を想ひ出してみた。そして鳥のやうに
独
(
ひと
)
りでにや/\笑つてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
不自由だって
此方
(
こちら
)
さまでも仕事は夜でも
宜
(
い
)
いやアな、昼の
中
(
うち
)
店を明ッ放しにして、年も
往
(
い
)
かねえ子供を置いて来て居ては困るからな
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
暑気
(
あつさ
)
は日一日と
酷
(
きび
)
しくなつて来た。殊にも今年は雨が少なくて、田といふ田には水が充分でない。日中は家の
中
(
うち
)
でさへ九十度に上る。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
皆
(
みな
)
は
又
(
また
)
少時
(
しばし
)
默
(
もく
)
して
了
(
しま
)
ふ。
其中
(
そのうち
)
に
茶
(
ちや
)
が
出
(
で
)
る。ドクトル、ハヾトフは
皆
(
みな
)
との一
般
(
ぱん
)
の
話
(
はなし
)
の
中
(
うち
)
も、
院長
(
ゐんちやう
)
の
言
(
ことば
)
に
注意
(
ちゆうい
)
をして
聞
(
き
)
いてゐたが
突然
(
だしぬけ
)
に。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そはわが用ゐて形をとゝなふ諸〻の火の
中
(
うち
)
、目となりてわが
首
(
かうべ
)
が輝く者、かれらの凡ての位のうちの第一を占むればなり 三四—三六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
牛でも鳥でもその
外
(
ほか
)
何の肉でもエキス分が沢山あって肉のまだ鮮しい
中
(
うち
)
はそのエキス分が分解作用を受けないから肉の外にあります。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
女房
(
にようばう
)
は
或
(
ある
)
年
(
とし
)
復
(
ま
)
た
姙娠
(
にんしん
)
して
臨月
(
りんげつ
)
が
近
(
ちか
)
くなつたら、どうしたものか
數日
(
すうじつ
)
の
中
(
うち
)
に
腹部
(
ふくぶ
)
が
膨脹
(
ばうちやう
)
して一
夜
(
や
)
の
内
(
うち
)
にもそれがずん/\と
目
(
め
)
に
見
(
み
)
える。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
またその
外
(
ほか
)
に私的の事件で扱ったものは、無数で、その
中
(
うち
)
でも、実に錯綜した難問題で、颯爽たる役目をやったものもたくさんあった。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
處
(
ところ
)
が
此
(
この
)
アルゼリヤ
國
(
こく
)
の
中
(
うち
)
でブリダアといふ
市府
(
まち
)
の
人
(
ひと
)
は
分
(
わけ
)
ても
怠惰
(
なまけ
)
ることが
好
(
す
)
き、
道樂
(
だうらく
)
をして
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
ることが好きといふ次第である。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それに義歯を取つけている
中
(
うち
)
は、いささか気丈夫であるが、それがことごとく失われたとなると、一種の寂寥を覚えずにはいられない。
はなしの話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すずめは、
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
に、こんな
不平
(
ふへい
)
がありましたけれど、しばらく
黙
(
だま
)
って、こまどりの
熱心
(
ねっしん
)
に
歌
(
うた
)
っているのに
耳
(
みみ
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
聞
(
き
)
いていました。
紅すずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
数かぎりなき糠星の瓔珞の
中
(
うち
)
、あなあはれ不尽の高嶺ぞ、白妙の不尽の高嶺ぞ、今し今、一きは清き紫の朝よそほひに出で立ち立てり。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
上野駅を一番列車で出発すれば、沼田から途中の
湯宿
(
ゆじゅく
)
まで自動車、それからは歩いても其日の
中
(
うち
)
に三国峠下の法師温泉まで辿り着ける。
三国山と苗場山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
こうして、八日は湖水のふちをうろうろして、水を見て、橋を見て、また真白な霧を見て、ただにこにこしている
中
(
うち
)
に暮れてしまった。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
もっとも今から四十年前のこと、その
中
(
うち
)
に御維新になって種々の学校というものが出来た。出来たが皆おもに西洋の学問をさせた。
学問の独立と東京専門学校の創立
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
一旦
(
いったん
)
、師匠の家へ行った以上、どういうことがあろうとも、年季の済まぬ
中
(
うち
)
にこの家の敷居を
跨
(
また
)
いではならんといったではないか。
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それが、どういう
理由
(
わけ
)
であったかは、ほんの一部の人にしか、ハッキリは分って居りません。なぜか、事が秘密の
中
(
うち
)
に運ばれたのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
結晶がとける心配はないのであるから、いくらでも良い写真がとれるはずであるが、実際は初めの
中
(
うち
)
はなかなか巧く行かなかった。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その
中
(
うち
)
にだんだん
侘
(
わび
)
しくなり、少々やり切れなくなってきたところへ、こんどは『すみれ』の久美子が現われたというわけなのでした。
Sの背中
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
伯父さん、あなたは料理部屋へいって、今夜
北京
(
ペキン
)
亭からきている
料理人
(
コック
)
を一人も逃がさないで下さい、その
中
(
うち
)
の左利きの男が犯人です。
謎の頸飾事件
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
真理を発揮するのが文章の目的乎、人生を説明するのが文章の目的乎、この問題が決しない
中
(
うち
)
は将来の文章を論ずる事は出来ない。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼は指の股に挟んで居た専門器械を
以
(
もっ
)
て電光の早さの
中
(
うち
)
に鎖を切断した。山吹色の懐中時計は訳もなく彼の掌中へ転げ込んで来た。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
国太郎は夢中で足の方を持ったが、どっしりと重い死人の体は思ったより遥かに扱い難く、物の十
間
(
けん
)
と歩かぬ
中
(
うち
)
にもう息切がして来た。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
他馬匹も同く、予は群馬の
中
(
うち
)
に囲まれて、
何
(
いず
)
れも予に接せん事を欲するが如く最も親しく慣るるは、此れ一種言うべからざるの感あり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
六十年後の今日において、この
中
(
うち
)
のどれだけが残っているか知らぬが、余り他国に類例がないので資料としても珍重すべきものである。
本朝変態葬礼史
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
其方
(
そち
)
もある夏の夕まぐれ、
黄金色
(
こがねいろ
)
に輝く空気の
中
(
うち
)
に、
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の一
片
(
ひら
)
が
閃
(
ひらめ
)
き落ちるのを見た時に、わしの戦ぎを感じた事があるであろう。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
そんなことを
呻
(
うめ
)
きながら、
迂路
(
うろ
)
つきまわっている
中
(
うち
)
、源吉の頭の中には、何時の間にか、恐ろしい計画が、着々と組立られていた。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
それを言ったものである。その我ら仲間の批評というのは今俳書堂から出版している『俳句界四年間』の
中
(
うち
)
に収録してあるはずである。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ちょこんと小さく寝ている伯父を見ている
中
(
うち
)
に、その痩せた白い身体の中が次第に透きとおって来て、筋や臓腑がみんな消えてしまい
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
右
(
みぎ
)
の
中
(
うち
)
、
説明
(
せつめい
)
を
略
(
りやく
)
してもよいものがある。
然
(
しか
)
しながら、
一應
(
いさおう
)
はざつとした
註釋
(
ちゆうしやく
)
を
加
(
く
)
はへることにする。
以下
(
いか
)
項
(
こう
)
を
追
(
お
)
うて
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
清君が胸をわくわくさせてそんなことを考えている
中
(
うち
)
に、内火艇はエメラルド色の美しい波をわけて、めざす富士洞窟へさしかかった。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
叔母の
肩
(
かた
)
をば
揉
(
も
)
んでいる
中
(
うち
)
、夜も
大分
(
だいぶ
)
に
更
(
ふ
)
けて来たので、源三がつい
浮
(
うか
)
りとして
居睡
(
いねむ
)
ると、さあ恐ろしい
煙管
(
きせる
)
の
打擲
(
ちょうちゃく
)
を受けさせられた。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今日
(
きょう
)
はお嬢さんが上野の音楽会へ出かけて、一日お留守だった。お嬢さんが居ないと、己は非常に
淋
(
さび
)
しい。まるで家の
中
(
うち
)
が
落寞
(
らくばく
)
とする。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
且
(
か
)
つは彼れ如何に口重き証人にも其腹の
中
(
うち
)
に在るだけを充分
吐尽
(
はきつく
)
させる秘術を知れば
猶
(
な
)
お失望の様子も無く
宛
(
あたか
)
も
独言
(
ひとりごと
)
を云う如き調子にて
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
只もう校舎を
撼
(
ゆす
)
ってワーッという声の
中
(
うち
)
に、無数の円い顔が黙って大きな口を
開
(
あ
)
いて躍っているようで、何を
喚
(
わめ
)
いているのか分らない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼は少しずつ馬車の
方向
(
むき
)
を変えはじめたが、あちらこちらへ向け直している
中
(
うち
)
に、とうとう馬車が横倒しにひっくりかえってしまった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
『それも
駄目
(
だめ
)
だ』と
心
(
こゝろ
)
秘
(
ひそ
)
かに
思
(
おも
)
つてる
中
(
うち
)
、
愛
(
あい
)
ちやんは
兎
(
うさぎ
)
が
窓
(
まど
)
の
下
(
した
)
へ
來
(
き
)
たのを
知
(
し
)
り、
急
(
きふ
)
に
片手
(
かたて
)
を
伸
(
の
)
ばして
只
(
たゞ
)
當
(
あて
)
もなく
空
(
くう
)
を
掴
(
つか
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
かういふ
風
(
ふう
)
にくろうとらしい
歌
(
うた
)
をお
作
(
つく
)
りになつたので、
歴代
(
れきだい
)
の
皇族方
(
こうぞくがた
)
の
中
(
うち
)
では、
文學
(
ぶんがく
)
の
才能
(
さいのう
)
から
申
(
まを
)
して、
第一流
(
だいゝちりゆう
)
にお
据
(
すわ
)
りになる
方
(
かた
)
です。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
心なき里人も世に痛はしく思ひて、色々の物など送りて
慰
(
なぐさ
)
むる
中
(
うち
)
、かの上﨟は
思
(
おもひ
)
重
(
おも
)
りてや、
病
(
や
)
みつきて程も
經
(
へ
)
ず返らぬ人となりぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
“中”の意味
《名詞》
【なか】 物の内側。
【チュウ】 大きいとも小さいとも言えない状態。
【チュウ】 成績評価において、優れているとも劣っているとも言えない状態。平均的。
【チュウ】 大規模な文章や書籍などで、中の方の部分。
(出典:Wiktionary)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“中”を含む語句
家中
中央
夜中
女中
連中
日中
中心
懐中
中間
室中
山中
中風
市中
心中
最中
掌中
中止
途中
真中
中旬
...