“中:うち” の例文
“中:うち”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花93
芥川竜之介75
夢野久作70
小川未明66
永井荷風48
“中:うち”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸58.1%
芸術・美術 > スポーツ・体育 > 戸外レクリエーション53.7%
歴史 > 地理・地誌・紀行 > 日本37.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
その時の彼の心のうちには、さっき射損じた一頭の牡鹿おじかが、まだ折々は未練がましく、あざやかな姿を浮べていた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのうちにクリストは、埃と汗とにまみれながら、折から通りかかった彼の戸口に足をとどめて、暫く息を休めようとした。
さまよえる猶太人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
旦那様のあだを今年のうちに捜し出して、本望ほんもうげた上でお詫びいたします、あゝ勿体ない、口が曲ります
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
男「小金までは子供で是からはとても行かれない、其のうちには暗くなって原中で犬でも出ればうする、早くお帰り」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
恐怖、叫喚、騒擾そうじょう、地震における惨状は馬車のうちあらわれたり。冷々然たるはひとりかの怪しき美人のみ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うち或る者が勢力を得て、それが文語になると云ふと、他の方言は勢力を失ふからして、其の文語の爲に壓倒せられる。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
さびしい睡蓮の花は、淋しい情景のうちに咲いてこそ、その哀愁的美、詩的情緒が私達の胸にぴったりうつって来るのです。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
あれほど胸のうちは落ちついていたものをと云いたいくらいに、余は平常へいぜいの心持で苦痛なくその夜を明したのである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どうしたえ、口寄くちよせひとつやつてねえかえ」大勢おほぜいうちからしたものがあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
チョットのつもりがツイ長くなり、毎日毎日チャンチャンチャンチャンと花魁船おいらんぶねを流しているうちに五十両の金が
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……御先祖以来、人間との堅い約束、夜昼三度、打つ鐘を、彼奴等あいつらが忘れぬうちは、村は滅びぬ天地の誓盟ちかい
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一際ひときわはげしきひかりもののうちに、一たび、小屋の屋根に立顕たちあらわれ、たちまち真暗まっくらに消ゆ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何よりさきにあなたに申さなくてはならないのは、あなたのお作のうちに出て来る女とわたくしとは違うと申す事でございます。
田舎 (新字新仮名) / マルセル・プレヴォー(著)
小栗風葉をぐりふうえふの会員のうちから出たので、たくに来たのは泉鏡花いづみきやうくわさきですが
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何故なぜというに、現代詩人のうちには随分敬虔けいけんなような、自家の宗教を持っているらしい人があるのですからね。
そのうちもつとふるくからあつたのは圓塚まるづか、そのぎに出來できたのが前方後圓ぜんぽうこうえん
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
抽齋文庫から出て世間に散らばつた書籍のうち、演劇に關するものは、意外に多く横阿彌さんの手に拾ひ集められてゐるらしい。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
清「来年の三月じゃ遅いじゃないか、是非今年のうちにと云っても、雪があって来られまいが、どうか今年の中に送っておくれ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しからざれば独身を続けたはずの本来の独身者の一団のうち、多くの者は、このように事情が変化したので結婚したのであろう。
遊廓は即ち砂地なり、其うちに生えたる花は即ち遊廓的恋愛なり、美の真ならず自然ならぬ事、多言を用ひずして明瞭なる可し。
その夏目先生が楠緒さんをお思出しになったことが最近先生のおかきになった『硝子戸がらすどうち』の一節にありました。
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
医者はまた繰り返して腹の中でかう思つた。すると、その一刹那すてきないゝ考へが電光いなづまのやうに頭のうちを走つた。
岩を打ち岩に砕けて白く青く押し流るる水は、一叢ひとむらうる緑竹のうちに入りて、はるかなる岡の前にあらわれぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
書生――はあ、五百通出したうちで、出席の返事が三百三十六通と欠席の返事が五十二通とで、あとはまだ返事がまいりません。
探偵戯曲 仮面の男 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
かう祈り続けてゐるうちに、私は何だか言葉の理路を失つて了ひ、幾度か文句を間違へたり、転倒したりして、はつと中止した。
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
語るを聞いて泰助は心のうちに思うよう、いかさま得三に苛責かしゃくされて、下枝かあるいは妹か、さることもあらむかし。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
初めのうちはとてもベントレイのような綺麗きれいな写真は撮れないだろうがと思いながら、とにかくやって見ることにした。
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
あるおとこはこの一週間しゅうかんうちに、東京とうきょうから、大阪おおさかほうまでまわってきました。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いへうちをばひろ野原のはらかたなきなげきにひとそでをもしぼらせぬ。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二五〇〇米以上十三座のうち、碓氷峠を境にして南北にわかちますと、北の方には浅間と奥白根、この二つしかありませぬ。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
集会所には朝のうちから五十人近い小作者が集って場主の来るのを待っていたが、昼過ぎまで待ちぼけをわされてしまった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それでもそんなことをしているうちに、二人は段々岸近くなって来て、とうとうその顔までがはっきり見える位になりました。
溺れかけた兄妹 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
健三からもらった小遣のうちいて、こういう贈り物をしなければ気の済まない姉の心持が、彼には理解出来なかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのうちに春が来たらしく、雪も降らず風もあたたかくなって、勘太郎が行く山道を横切る雪も白くふわふわとして来ました。
虫の生命 (新字新仮名) / 夢野久作海若藍平(著)
アアそうだったかナ、なんぞと思ううちに、何時いつか知らずザアッという音も聞えなくなり、聞く者もしょうが抜けて
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これうものは汝等なんじらにあらず、うちにありていたまうなんじらのちちれいなり。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ここの先生はどれほどの人か知らん、とにかく今の少年と一手を争い、次にこの先生のお手のうちを拝見するも一興であろうと
かれちゝあにあによめ三人さんにんうちで、ちゝの人格に尤もうたがひいた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかも、そのうちの一人は急性肺炎……モウ一人は心臓麻痺でポックリ死んでしまったので、それやこそ……死んだ友吉の祟りだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それから彼女は、まだ僧侶達が帰らないうちに呼びつけのタキシーの高級車を呼んで、つるを離れた矢のように飛出て行った。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
平馬は無言のまま筆を置いて立上った。今までの不思議さと不安さの全部を、一時に胸のうちでドキンドキンと蘇らせながら……。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのうち、突然にお祖父様の右手ががったと思うと、煙管が父のモジャモジャした頭の中央に打突ぶつかってケシ飛んだ。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
此様こんな風ななぎさも長く見て居るうちにはもう珍らしく無くなつて東海道の興津へんを通る様な心持になつて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そのうちに、親にも私が学校を退きたいという考が解ったのだろう、間もなく正則の方は退くことになったというわけである。
私の経過した学生時代 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
床を離れてその祝義しゅうぎ済みし後、珠運思い切ってお辰の手を取り一間ひとまうちに入り何事をか長らく語らいけん
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
誠少き命毛いのちげなさけは薄き墨含ませて、文句を飾り色めかす腹のうちなげかわしと昔の人のいいたるが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いま会った山崎譲の話では、関東も関西もかなえのわくような騒ぎ、四海のうちが浮くか沈むかという時勢であるそうな。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そのうちには、の有名な土方歳三ひぢかたとしざうや、近藤勇こんどういさむといふやうな人もはいつて居た。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
長「居ねえっておめえが頭を土間へくッつけて、ぐず/\云ってるうち、頭をまたいでつう/\先へ行って仕舞ったのよ」
と云う、しゃがれたうちたんの交じった、冷飯に砂利をむ、心持の悪い声で、のっけに先ず一つくらわせた。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
深森のうちおのずからこみちを造るその上へ、一列になって、一ツ去れば、また一ツ、前なるが隠るれば、後なるが顕れて
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
永遠とこしへの光にむかへり、げに被造物つくられしものの目にてそのうちをかく明らかに見るはなしと思はる 四三―四五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かれこれとかたっているうちにも、おたがいこころ次第しだい次第しだいって
そうするうちにある不図ふとそなたのこえばれるようにかんじてましたのじゃ。
父は、心のうちの苦悶を、此の来客に依つて、少しは紛ぎらされたやうに、淋しい微笑を、浮べながら応接室へ入つて行つた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
夢うつつのうちに眼の前に野広い海辺の緑の沙地が展開して来た。上には深藍色の大空に掛るまんまろの月が黄金色であった。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
それらの様子を、三人が呆然ぼうぜんと見詰め、見廻わしているうちに、山鹿はそのドアーを閉め、それを背にして向き直った。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
焉馬、三馬、源内、一九等の著書を読む時に、われは必らず彼等のうちに潜める一種の平民的虚無思想のいとに触るゝ思あり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
論議を進めていくうちに、私は当然に、この原理が現存社会状態に及ぼしている影響を、いささか検討してみるようになった。
これは疑いもなく、スウェーデンの人口のうち非常に多くが農業に従事していることを考えると、非常に大きな死亡率である。
夏目漱石は、色々なものを嫌つたが、そのなかで芸者と俳優やくしやとは一番嫌ひなもののうちかずへてゐたらしかつた。
上手かみてに一つ新しくしつらえたる浴室の、右と左のひらとびらを引き開けて、二人はひとしくうちに入りぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
旅行をしたらそうノウノウと、遊び廻わることは出来ないだろう、今のうちに思うさま遊んで置こうと、こう思っていたからです。
イヤ、もらう気はしない、先妻が死んで日柄ひがらが経たないうちに、どんな美人があるからッて後妻を貰う気になれるかい
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
このうち一ノ沢、二ノ沢、衝立ついたて沢の方面は未だ自分の知らない領域であり、滝沢は全く手がつけられていない所である。
一ノ倉沢正面の登攀 (新字新仮名) / 小川登喜男(著)
われ京伝きょうでんが描ける『狂歌五十人一首』のうちに掲げられしこの一首を見しより、始めて狂歌捨てがたしと思へり。
矢立のちび筆 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
こんな話に時の移るのを忘れているうちに、庭にさえずる小禽ことりの声も止んで、冬の日影はほど薄くなった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼は又、かつて読んだ八犬伝のうちで、犬飼現八いぬかいげんぱち庚申山こうしんざんに分け入るの一段を思い出した。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこでピンビタンの役所に着いて二通のうちの一通を渡し、そして一通のシナ文字で書いた書面を請取うけとる訳なんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
円生ゑんしやう円遊ゑんいうたのまれましたことゆゑはらうちでは其実そのじつ僥倖さいはひ
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これからたくかへつて支度したくをしてうち長家ながやの者も追々おひ/\くやみに
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
二階三階、遂に五階目かとも覚しき処まで上り行き候ふ時、女はかち/\と鍵の音させて、戸を開き、余をそのうちに突き入れ候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
にいさん、実は二、三日うちわたしの方からお邪魔にあがろうと思っていたんだよ。」とお豊が突然話しだした。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこで、むらうちくち上手じょうずひとえらんで、乞食こじきさそした。
つばめと乞食の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このこいはもいいにちがいない。」と、こころうちおもって、さっさといってしまうものばかりでした。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
片割れというのは、結晶を金属か木の面に凝結させて作るので、本当の雪の結晶の六本の枝のうち二本か三本かが出来るのである。
雪を作る話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
屋敷町やしきまちのことで、まだよいうちであったにもかかわらず、あたりはいやにしんとしずまり返っていた。
幽霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
今までの己が一夜のうちに失われて、明日あすからは人殺になり果てるのだと思うと、こうしていても、体が震えて来る。
袈裟と盛遠 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
文「お名前も所もお聞き申す間もないので、アレ/\といってるうちに、ポンと金をッ附けて逃げてきました」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
同じ区なる富山銀行はその父の私設する所にして、市会議員のうちにも富山重平じゆうへいの名は見出みいださるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
はなはだむさくるしいところで」とひつゝ、道翹だうげうりよくりやうちんだ。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
い意味、善い意味の道楽という字が使えるか使えないか、それは知りませぬが、だんだん話して行くうちに分るだろうと思う。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度は藤尾の方で、返事をする前に糸子をじっと見る。針は真逆まさかの用意に、なかなかひとみうちには出て来ない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は約十分ばかり待った後で、注意の焼点しょうてんになる光のうちに、いっこう人影が射さないのを不審に思い始めた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのうちで彼女の最も得意とする主題は、何でもかでも自分とあによめとを結びつけて当てこするという悪い意地であった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この疑惑に初手しょてからこだわった自分の胸には、火鉢を隔てて彼女と相対している日常の態度のうちに絶えざる圧迫があった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「無のうちか、有の中か、玻璃ハリびんの中か」とウィリアムがよみがえれる人の様に答える。彼の眼はまだ盾を離れぬ。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
話はまた靴へ戻って来た。津田はお延と関係の深いその岡本の子と、今自分の前でその子を評している真事とを心のうちで比較した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ろくろく口もかないで、下ばかり向いている彼女の態度のうちには、ほとんど苦痛に近い或物が見透みすかされた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丁度夏の晴れた日が続いた跡で、空気のうちに電気が満ちてゐるやうに、近頃二人の感情の天も雷雨を催してゐたのである。
クサンチス (新字旧仮名) / アルベール・サマン(著)
けれどもそのうちに又不図これは悪魔の計略はかりごとだなと気が付いて、急いで紅矢のへやに帰って見ますと、こは如何に。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
濱島はまじまおくつてれたかずある贈物おくりものうち、四かく新聞しんぶんつゝみ
彼は黯然あんぜんとした顔になったが、やはり黙っていた。その黙っているところがかえって自分の胸のうちに強い衝動を与えた。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そのいんうちに記して曰く、つまびらかに其の進修の功をうに、日々にことなるありて、月々に同じからず
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何か探そうとして机の抽斗ひきだしを開け、うちれてあッた年頃五十の上をゆく白髪たる老婦の写真にフト眼をめて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
けれど、こう静まッているは表相うわべのみで、乞の胸臆きょうおくうちへ立入ッてみれば、実に一方ひとかたならぬ変動。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そのために、女は一層殺意を早めて、その夜のうちにここに来て、被害者にアルコール類似の毒液を注射し、遂にその目的を遂げた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかしそのうちテーブルを一つドカンとたたいて決心を据えると吾輩は、友吉親子を連れてコッソリと××を脱け出した。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私は思わずえりを正した。それは立佇たちどまっているうちにヒシヒシと沁み迫まって来る寒気のせいではなかった。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そういううちにもバタバタと四五人卒倒した。歯の抜けたようになった一列横隊がまたも、アリアリと光弾に照し出された。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
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