“落寞”の読み方と例文
読み方割合
らくばく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今日きょうはお嬢さんが上野の音楽会へ出かけて、一日お留守だった。お嬢さんが居ないと、己は非常にさびしい。まるで家のうち落寞らくばくとする。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
実際の失恋でもない、いはんや得恋でもない、はゞ無恋の心もちが、一番悲惨な心持なんだ。此の落寞らくばくたる心持が、俺にはたまらなかつたんだ。
良友悪友 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
然りと雖も人老ゆるに及んで身世しんせい漸く落寞らくばくの思いに堪えず壮時を追懐して覚えず昨是今非さくぜこんひの嘆を漏らす。蓋し自然の人情怪しむに足らざるなり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)