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自家
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うち
ふりがな文庫
“
自家
(
うち
)” の例文
「冬はこんなものきりしかございません。これは青豆を乾したものですがこれは
自家
(
うち
)
でこしらえたものです。どうぞ、旦那様に……」
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「昔
自家
(
うち
)
にちよい/\来た時分には、俺はよく知らんが、何でもお前の部屋で騒いだりして、いやに活溌な奴らしかつたぢやないか」
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
彼等はその何処からでも、陸にある「
自家
(
うち
)
」の匂いをかぎ取ろうとした。乳臭い子供の匂いや、妻のムッとくる膚の
臭
(
にお
)
いを探がした。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「お母さん、
自家
(
うち
)
のことは好いが、彼の山には鬼婆が出ると云いますから、日が暮れたなら、泊って来るが宜しゅうございますよ」
白い花赤い茎
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『
何
(
な
)
んぼ
何
(
な
)
んでも、不意に二人でいんだら、
家
(
うち
)
で
喫驚
(
びつくり
)
しますがな。』と、お光は
自家
(
うち
)
へ小池を伴なつて歸るのを
澁
(
しぶ
)
る樣子であつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
私はまだブロクルハースト氏の訪問のことを云はなかつたが、事實、私が此處へ着いてから一月の間は、殆んど
自家
(
うち
)
にゐなかつたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「
自家
(
うち
)
の親類は皆な薄情だから、俺に若しものことがあると困るのは貴様だけだぞ。どんな相談相手だつて自家にはないよ……」
父の百ヶ日前後
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
私の思ったのはその手代きりです——どうしましたか、私は
自家
(
うち
)
を飛びだしてから妙な方に
外
(
そ
)
れてしまったから、ただそれだけのことです
雪の日
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
自家
(
うち
)
まで
尾
(
つ
)
いて来られては、父母や女房の手前もある。ましてこの為体のしれない
物騒
(
ぶっそう
)
な
面魂
(
つらだましい
)
、伝二郎は
怖気
(
おぞけ
)
を振ったのだった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彫る技は実に達者なものでありますが、もう少し図がよかったらと思います。ここの「
日光羊羹
(
にっこうようかん
)
」は誰も
自家
(
うち
)
へ持ち帰るでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「あの子は育たないかも知れませんよ。
阿母
(
おっか
)
さんは心配して乳が上っているんですもの。脚など、
自家
(
うち
)
の子くらいしけアありませんよ。」
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
役所に出て居て読むのは
勿論
(
もちろん
)
、借りて
自家
(
うち
)
へ
持
(
もっ
)
て来ることも出来るから、ソンな事で幕府に雇われたのは身の
為
(
た
)
めに大に便利になりました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
近くに
自家
(
うち
)
があるのにそんなことをしては、ますます次郎をひがましてしまうのではないか、という心配が俊亮にはあった。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
己れは其樣な物は貰ひたく無い、お前その好い運といふは詰らぬ處へ行かうといふのでは無いか、一昨日
自家
(
うち
)
の半次さんが左樣いつて居たに
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「うむ、そういたしてくれ、かたじけない——お願い申すよ、何せこの荒くれた世帯、たまには
自家
(
うち
)
の中にも、花が咲いてくれなければ——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
かみさんや娘は、
油煙
(
ゆえん
)
立つランプの
傍
(
はた
)
でぼろつぎ。兵隊に出て居る
自家
(
うち
)
の兼公の噂も出よう。東京帰りに兄が見て来た都の
嫁入
(
よめいり
)
車
(
ぐるま
)
の話もあろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
自家
(
うち
)
のものは余り安過ぎたなど、私の師匠なども後で申された位でありました。万事こんな訳で、十年の博覧会も一段落ついたことでありました。
幕末維新懐古談:25 初めて博覧会の開かれた当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
ジュッ、ジュッ、堯は鎌首をもたげて、口でその啼き声を
模
(
ま
)
ねながら、小鳥の様子を見ていた。——彼は
自家
(
うち
)
でカナリヤを飼っていたことがある。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
自家
(
うち
)
ではどうしても、これから百日と計算して、一家八人、割当だけでも約六俵は必要なのに……それが一俵しかない。
米
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
と、急に胸が押しつぶされるように苦しくなり出して、頭を振り、またうなだれ、そして
自家
(
うち
)
へ帰るとその夜っぴて不眠に悩みあかすのであった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
学校のお
午
(
ひる
)
に生徒の半分程は
自家
(
うち
)
へ帰つて食事をする人でしたが、私も加賀田さんもその仲間でした。それで或時私は
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
配達夫が
自家
(
うち
)
に來てわたくし手招きでお兄さまのお便りだと知らすと、お父さまは狂氣のやうになつて、ほんとにこけつまろびつ歸つて來られます。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「
自家
(
うち
)
でしょっちゅう聞いていたから話せるのよ。あなただって、聞きつければ、きっと話せるようになってよ。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
老婆 おや、それじゃあきっと
自家
(
うち
)
の若い人たちと一緒ですよ。安重根とかいう人が来たと言って、商売をおっぽり出して駈け出して行きましたから。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
「なるほど仁木先生に違えねえ、これじゃあどうにもしようがねえから、とにかく
自家
(
うち
)
へおつれ申すとしよう」
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「小母さんは
怜悧
(
りかう
)
な人だから、
自家
(
うち
)
へ来れば他人から呼び捨てにされないと、ちやんと知つてゐたんですよ」
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
新らしき床屋の番地を、心底深く
牢記
(
ろうき
)
して呑み友達の家で、酒盃を挙ぐる間に忘れもせず、
自家
(
うち
)
へ帰ってから、CとSの書損いを、ハガキで注意してやるのである。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
あの娘は、車の中でしくしく泣き出していました。
自家
(
うち
)
へ帰り度いと言うのです。早くうちへ伴れて行かないと、お母ちゃんに言いつけるといって、泣くんです——
双面獣
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
私
(
わたくし
)
が
他所
(
よそ
)
に
情婦
(
おんな
)
をつくりましたのは、あれはホンの
当座
(
とうざ
)
の
出来心
(
できごころ
)
で、
心
(
しん
)
から
可愛
(
かわい
)
いと
思
(
おも
)
っているのは、
矢張
(
やは
)
り
永年
(
ながねん
)
連
(
つ
)
れ
添
(
そ
)
って
来
(
き
)
た
自家
(
うち
)
の
女房
(
にょうぼう
)
なのでございます……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ひとりで、こっそりと
自家
(
うち
)
の物干竿を持出して、人のいない頃を見すましては、近くの小学校の運動場で練習したのであった。勿論、友達にも誰にも話しはしなかった。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
自家
(
うち
)
の殿様は決してそんなのじゃない、あまりまじめ過ぎる点で皆が困っているほどなのだ。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「嘘だよ。だけど、
自家
(
うち
)
へは、黙っていておくれ。お里にも、お喜代にも。——いいかえ」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから
自家
(
うち
)
の奥さんお客さんなど
主
(
おも
)
な者から
下僕
(
しもべ
)
に至るまで順々にやってしまいますと
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「要らんことばっかしてな。お前ら
自家
(
うち
)
の財産減らすことより考えやせんのや。」
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
君のことを話し合えるのは実にうれしい! (そのことに神の祝福あれ!)僕の義理の母の家は君にはほんとうの
自家
(
うち
)
以上の
自家
(
うち
)
だった、ことに君の立派なお母さんが亡くなられて後は。
ベートーヴェンの生涯:04 ベートーヴェンの手紙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
、
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
、
フランツ・ゲルハルト・ヴェーゲラー
、
エレオノーレ・フォン・ブロイニング
(著)
「お嬢様、誠に有難うございました。宿のものが心配しているといけないから、一旦
自家
(
うち
)
へ帰りまして、改めてお礼に伺います。お母様がお帰宅になったら、どうぞ宜しく申上げて下さい」
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
それから廿の年におやじがなくなったので、紙屋を暇をとって
自家
(
うち
)
へ帰って来た。半月ばかりするとある日、おやじの代から使っていた番頭が、若旦那に手紙を一本書いて頂きたいと云う。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「一疋一銭として百円余か、随分獲つたなあ、
自家
(
うち
)
が一番多かつたらう?」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
初め
自家
(
うち
)
にいる間は、ただちょっと読み書きの出来る小伜に過ぎなかったのが、やがてお邸の奥様お気に入りの女中頭でアガーシュカとか何とかという女と
夫婦
(
いっしょ
)
になって、自分は倉番になり
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
自家
(
うち
)
の兄さんはいつ見ても若い。ちっとも
老
(
ふ
)
けないところを
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
親爺は、
自家
(
うち
)
に作りたい畠だと云って、売り惜んだ。
浮動する地価
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
大きな朱の
凧
(
たこ
)
が
自家
(
うち
)
から揚る。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「あなた、
自家
(
うち
)
の子にいろんな物をやってくれたでしょう。主婦さんそういっていた。……あんなにしてもらうと、私顔が立っていいの」
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
持つたのは、あれは確かにお蝶さんの為ばかしぢやないのよ、確かにお客の為よ、
自家
(
うち
)
だとお母さんが厭な顔をするもので……
父の百ヶ日前後
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
己
(
お
)
れは
其樣
(
そん
)
な
物
(
もの
)
は
貰
(
もら
)
ひたくない、お
前
(
まへ
)
その
好
(
い
)
い
運
(
うん
)
といふは
詰
(
つま
)
らぬ
處
(
ところ
)
へ
行
(
ゆ
)
かうといふのではないか、
一昨日
(
をとゝひ
)
自家
(
うち
)
の
半次
(
はんじ
)
さんが
左樣
(
さう
)
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たに
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
田舎にいたおり、村の出入りを扱うことの
巧
(
うま
)
かった父親は、
自家
(
うち
)
の始末より、大きな家の世話役として役に立つ方であった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そしてその
妓楼
(
いえ
)
を見届けると、
自家
(
うち
)
へ帰って
午
(
ひる
)
まで寝た。彼が
妓楼
(
ぎろう
)
というものに始めて上がったのはその夕であった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
自家
(
うち
)
は正月元日でも、
四囲
(
あたり
)
が十二月一日なので、一向正月らしい気もちがせぬ。年賀に往く所もなく、来る者も無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
自家
(
うち
)
にゐれば、毎朝行くことになつてゐる便所にも行かなくなつた。粗食と運動不足がすぐ身體に變調を來たさした。四日目の朝、無理に便所に立つた。
一九二八年三月十五日
(旧字旧仮名)
/
小林多喜二
(著)
「なぜ笑やって、その話は嘘じゃよ、これは
某
(
ある
)
学者が、嘘に云うた話じゃそうじゃ、
自家
(
うち
)
の伯父さんが話したよ」
放生津物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
“自家”の意味
《名詞》
自分の家。
自分自身のこと。
(出典:Wiktionary)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“自家”で始まる語句
自家撞着
自家中毒
自家薬籠
自家使
自家織
自家製
自家受精
自家薬籠中
自家証得底