放生津物語ほうじょうづものがたり
越中の放生津の町中に在る松や榎の飛び飛びに生えた草原は、町の小供の遊び場所であった。その草原の中央の枝の禿びた榎の古木のしたに、お諏訪様と呼ばれている蟇の蹲まったような小さな祠があったが、それは枌葺の屋根も朽ちて、木連格子の木目も瓦かなんぞ …