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宅
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うち
ふりがな文庫
“
宅
(
うち
)” の例文
まもなく
宅
(
うち
)
から持って来た花瓶にそれをさして、
室
(
へや
)
のすみの洗面台にのせた。同じ日に
甥
(
おい
)
のNが西洋種の
蘭
(
らん
)
の
鉢
(
はち
)
を持って来てくれた。
病室の花
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「そう自任していちゃ困る。実は君の御母さんが、家の婆さんに頼んで、君を僕の
宅
(
うち
)
へ置いてくれまいかという相談があるんですよ」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宅
(
うち
)
のおとうさんをいじめるから、お前をおれがいじめてやると言って雪をぶっかけたり、道ばたから押し落としたりするそうですよ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
だから、もし自分の
宅
(
うち
)
で
女房
(
かない
)
から手紙を投げつけられるやうな事があつたら、大抵の亭主は、小鳥のやうに
顫
(
ふる
)
へあがるに
極
(
きま
)
つてゐる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
下宿にいちゃあ何かと困るでしょう、どうせ一週間ばかりなら
宅
(
うち
)
にいて養生してもいいでしょう、ね、宅でも大変お前さんに見込みを
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
▼ もっと見る
美「なに
私
(
わちき
)
のお父さんと心安い人なんで、四五
度
(
たび
)
私を呼んでくれた人ですが、
宅
(
うち
)
のお母さんと近付に成りたいって来てえるんですよ」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分はそっとこの
革包
(
かばん
)
を
私宅
(
たく
)
の横に積である材木の間に、しかも巧に
隠匿
(
かく
)
して、
紙幣
(
さつ
)
の一束を懐中して素知らぬ顔をして
宅
(
うち
)
に入った。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「何そうむずかしい事じゃない。刑事をね、一人君の
宅
(
うち
)
へ泊り込ますのだ。そして郵便をその都度すっかり見せて貰う事にするのだ」
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
客の応対ぶりだって、立派なもんだし、
宅
(
うち
)
もキチンキチンとする方だし……どうしてお前なんざ、とても
脚下
(
あしもと
)
へも追っ着きゃしねえ。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ああいう
婦人
(
おんな
)
を
宅
(
うち
)
へ置いてどんな
懸合
(
かかりあい
)
になろうも知れませぬ。「その事なら
放棄
(
うっちゃッ
)
ときな、おれが方寸にある事だ。ちゃんと飲込んでるよ。 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今この手紙を書く時も、
宅
(
うち
)
のあの六畳の
部屋
(
へや
)
の
芭蕉
(
ばしょう
)
の陰の机に
頬杖
(
ほおづえ
)
つきてこの手紙を読む人の面影がすぐそこに見え候(中略)
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「朝顔につるべとられて——とかなんとかいうが、おやっちゃん、
宅
(
うち
)
じゃあね、あれごらん、唐茄子に
乾棹
(
ほしざお
)
とられてだよ。」
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
これは彼がよく遊びに行く藝者の
宅
(
うち
)
で、蝶吉と小駒の二人が、「
小母
(
おば
)
さん」と呼ぶ此女を雇つて萬事の世話を頼んで居る。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
宅
(
うち
)
では、不安心でございますから、私の縁者の者が、ここに神官をしておりますゆえ、これを持って、ひとまずそこへ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
只細君が稍〻不平なのは何々會社假事務所といふ立派な札が星野の家の門口に掛つてゐることで、どうしてあの表札を
宅
(
うち
)
の表に掛けないのだらう。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
取
交
(
かは
)
し
悦
(
よろこ
)
び
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせび
)
けり
姑
(
しばら
)
くして
馬士
(
まご
)
云樣話は
宅
(
うち
)
で出來るから日の
暮
(
くれ
)
ぬ中
馬
(
うま
)
に
騎
(
のら
)
つせへ
否
(
いや
)
伯父
(
をぢ
)
樣と知ては
勿體
(
もつたい
)
ない
馬鹿
(
ばか
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
旦那、
私
(
わたくし
)
どもでは、萎れた花なんて置きませんです。
宅
(
うち
)
の品はみんな新しい若い、愛の充ちた花で、蘆や薄荷の
茂
(
しげみ
)
の中で、水に浸つて生きてをります。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
「葉子さんのお
宅
(
うち
)
は山の方でしたねえ。お宅の近所の野原には沢山に草花が咲いていてどんなにか
好
(
い
)
いでしょうね」
先生の顔
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
立派なもんじゃないの?
宅
(
うち
)
なんかでも、困って少しお金を借りて、そのままもらってしまったことがあるけど……
街底の熔鉱炉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
彼
(
あの
)
可厭
(
いや
)
と思った学生の声でしたから、私達は急いで停車場を出て、待たせて置いた
宅
(
うち
)
の俥に乗って帰ったのでした。
昇降場
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
是
(
こ
)
れと
言
(
い
)
ふも
矢張
(
やつぱり
)
原田
(
はらだ
)
さんの
縁引
(
ゑん
)
が
有
(
あ
)
るからだとて
宅
(
うち
)
では
毎日
(
まいにち
)
いひ
暮
(
くら
)
して
居
(
ゐ
)
ます、お
前
(
まへ
)
に
如才
(
ぢよさい
)
は
有
(
あ
)
るまいけれど
此後
(
このご
)
とも
原田
(
はらだ
)
さんの
御機嫌
(
ごきげん
)
の
好
(
い
)
いやうに
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「気違いだ。可哀そうに……。それとも酔っているのかもしれない。マックス、その人を
宅
(
うち
)
まで送り届けてやれ」
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
宅
(
うち
)
の婆さんが、それには先づ前もつて林檎をよく洗ひ浄めて、次ぎに
*
濁麦酒
(
クワス
)
に浸けて、それから今度は云々といつた塩梅に、語り進めようとした時ぢや。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:01 はしがき
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「
宅
(
うち
)
なんぞはこの通り裏の方へ引込んでおりまして、とても表通りのお歴々と同じようなお附合いは致し兼ねまする、どうかそれは御免なすって下さいまし」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
堺
(
さかい
)
の
街
(
まち
)
にて
亡
(
な
)
き父ほど天子様を思ひ、
御上
(
おかみ
)
の御用に自分を忘れし商家のあるじはなかりしに候。弟が
宅
(
うち
)
へは手紙ださぬ心づよさにも、亡き父のおもかげ思はれ候。
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「あの青い美しい石なら、身投をする前の日、
宅
(
うち
)
の子供へくれましたよ。形見の積りだったんでしょう」
呪の金剛石
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これより
宅
(
うち
)
に還るまで、揚々之を見せびらかして、提げ歩きしが、
予
(
よ
)
の釣を始めて以来、凡そ此時ほど、大得意のことなく、今之を想ふも全身肉躍り血湧く思ひあり。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
三日前に先生の処へ行てチャント様子を
知
(
しっ
)
て居るのに、急病とは何事であろうと、取るものも
取敢
(
とりあ
)
えず
即刻
(
そっこく
)
宅
(
うち
)
を駈出して、その時分には人力車も何もありはしないから
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「そう。
宅
(
うち
)
のNさんもそうなのよ。帰りにここへよると思うけど。ね奥さん、お宅ご飯ない?」
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
野生
(
わたくし
)
の
宅
(
うち
)
へおいで下さりますると、ああもったいない、雛形はじきに野生めが持ってまいりまする、御免下され、と云いさまさすがののっそりも喜悦に狂して
平素
(
つね
)
には似ず
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
腕力で侮辱を与へようとしたもんだから、梅子さんも非常に怒つて、松島を
片眼
(
めつかち
)
にしたんださうな、其れを
宅
(
うち
)
の先生が何か関係でもあつて、
左様
(
さう
)
させたやうに言ひ触らして
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
その月の三十一日の午後、その僧侶の親元の
宅
(
うち
)
へ来てくれと言うて馬で迎えに来ました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
宅
(
うち
)
に言ってやったところでだめなのは知れているし、でき合いを買う余裕もないので、どうかして今年の冬はこれで間に合わせるつもりで、足のほうに着物や羽織や
袴
(
はかま
)
をかけたが
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「そんなことを
仰
(
おっ
)
しゃるけれど、わたしだって、
宅
(
うち
)
へ帰ってどんなに泣くでしょう」
ふみたば
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ちょうど時は四月の半ば,ある夜母が自分と姉に向ッて言うには,今度
清水
(
しみず
)
の
叔父様
(
おじさま
)
がお雪さんを連れて
宅
(
うち
)
へ泊りにいらッしゃるが,お雪さんは江戸育ちで、ここらあたりの
田舎者
(
いなかもの
)
とは違い
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
宅
(
うち
)
に入ると、助手が運んでくれた荷物は、ぐちゃぐちゃに
壊
(
こわ
)
れている。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「それで、今から、
宅
(
うち
)
へ、連れ戻りたいが、ええかい」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
下谷の伯母の
宅
(
うち
)
に引き取る事になったという。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
宅
(
うち
)
の前で止ったわ。お父様のお帰りだわ。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
そうして
宅
(
うち
)
の公債証書はどのくらいあるノ。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
兎に角自分の
宅
(
うち
)
には羅紗緬類似の女は一人も居ません(荻)イヤサ家に居無くとも外へ
囲
(
かこ
)
って有れば同じ事では無いか(大)イエ外へ囲って有れば決して此通りの犯罪は出来ません何故と
云
(
いう
)
に
先
(
まず
)
外妾
(
かこいもの
)
ならば其
密夫
(
みっぷ
)
と何所で逢います(荻)何所とも極らぬけれど
爾
(
そう
)
サ
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「さう自任してゐちや困る。実は君の
御母
(
おつか
)
さんが、
家
(
うち
)
の婆さんに頼んで、君を僕の
宅
(
うち
)
へ置いて呉れまいかといふ相談があるんですよ」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
えゝお茶を上げな……あなたにも此の
娘
(
こ
)
が
度々
(
たび/\
)
御贔屓で呼んでおくれなすった事も有りますが、
明後日
(
あさって
)
から美代吉は
宅
(
うち
)
にいませんよ
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
宅
(
うち
)
の狗か。」判事はだしぬけに
途
(
みち
)
の真中で鼻を
抓
(
つま
)
まれたやうな顔をした。「それぢや仕方がない、盗まれた肉代は幾らだつたね。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
宅
(
うち
)
へ来た当座は
下性
(
げしょう
)
が悪くて、食い意地がきたなくて、むやみにがつがつしていたので、女性の家族の間では特に評判がよくなかった。
子猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
有ったってそれを渡したら
宅
(
うち
)
で困って了う。可いよ、
明日
(
あした
)
母上
(
おっかさん
)
が来たら私がきっぱりお
謝絶
(
ことわり
)
するから。そうそうは私達だって困らアね。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
わしはあの
吉助
(
きちすけ
)
が心からきらいなのだ。腹の悪いくせにお
追従
(
ついしょう
)
を使って。この春だってそ知らぬ顔で
宅
(
うち
)
の田地の境界を
狭
(
せば
)
めていたのだ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
宅
(
うち
)
へ探偵の
廻物
(
まわしもの
)
が這入ったのですよ。小僧だと思って抛って置いたのですが、うっかりして本郷の方を嗅ぎ出されそうになったのです。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
戸をあけて
宅
(
うち
)
へ入らうとすると、闇の中から、
哀
(
あはれ
)
な細い
啼聲
(
なきごゑ
)
を立てゝ、雨にビシヨ/\濡れた飼猫の三毛が
連
(
しきり
)
に
人可懷
(
ひとなつかし
)
さうに
絡
(
からま
)
つて來る。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
さりながら父の戒め、おりおり桜川町の
宅
(
うち
)
に帰りて聞く母の
訓
(
おしえ
)
はここと、けなげにもなお攻城砲の前に陣取りて、日また日を忍びて過ぎぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
“宅”の意味
《名詞》
(タク)居所。住居。
(タク)家、家庭。
(タク)自分の家、家庭。
(タク)自分の夫。主人。
(「お宅」の形で)「あなた」の婉曲表現。
(出典:Wiktionary)
宅
常用漢字
小6
部首:⼧
6画
“宅”を含む語句
帰宅
住宅
在宅
自宅
家宅
大宅
居宅
邸宅
私宅
妾宅
安宅
御宅
火宅
三宅島
歸宅
仮宅
本宅
転宅
光宅
御帰宅
...