家屋うち)” の例文
洋風まがひの家屋うちの離れ/″\に列んだ——そして甚麽どんな大きい建物も見涯みはてのつかぬ大空に圧しつけられてゐる様な、石狩平原の中央ただなかの都の光景ありさまは、やゝもすると私の目に浮んで来て
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と考へ夫々それ/\趣向しゆこうをいたし、一々いち/\口分くちわけにして番号札ばんがうふだけ、ちやんとたなへ、何商法なにしやうはふでもお好次第このみしだい世辞せじがあるといふまでに準備が出来できた、これで開店するといふのだが、うも家屋うち構造かゝりむづかしい
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
夜は星がさかしげにかがやいていた。垣には虫の声が雨のように聞こえる。椿の葉には露がおいて、大家おおやの高窓からもれたランプの光線がキラキラ光った。木の黒い影と家屋うちの黒い影とが重なり合った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)