故家うち)” の例文
故家うちでは、村で唯一人の大學生なる吾子の夏毎の歸省を、何よりの誇見みえで樂みにもしてゐる、世間不知しらずの母が躍起になつて、自分の病氣や靜子の縁談を理由に、手酷く反對した。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その間僕は下宿をしたり、故家うちにいたり、あちらこちらに宿をかえていた。僕が大学を出たのは明治二十六年だ。元来大学の文科出の連中にも時期によってだいぶ変わっている。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この暑中休暇は東京で暮すつもりだと言つて来たのを、故家うちでは、村で唯一人の大学生なる吾子の夏毎の帰省を、何よりの誇見みえにて楽みにもしてゐる、世間不知しらずの母が躍起になつて
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)