うち)” の例文
新字:
どうもそれらしいと教えられて行ったあるうちから出てくる、その出會いがしらに、突然ばったりと彼にぶつかってしまったのだった。
「あ、因業いんごふ佐野喜の親爺か、この春の火事で、女を三人も燒き殺したうちだ。下手人が多過ぎて困るんだらう」
廓内なかおほきいうちにも大分だいぶ貸付かしつけがあるらしうきましたと、大路おほぢちて二三にん女房にようぼうよその財産たからかぞへぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夫れでも此方こちどものつむりの上らぬは彼の物の御威光、さりとは欲しや、廓内なかの大きいうちにも大分の貸付があるらしう聞きましたと、大路に立ちて二三人の女房よその財産たからを數へぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)