家中うちぢう)” の例文
曾祖母ひいばあさん、祖父おぢいさん、祖母おばあさん、伯父おぢさん、伯母おばさんのかほから、奉公ほうこうするおひなかほまで、家中うちぢうのものゝかほ焚火たきびあかうつりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
番頭の和助は四十男、これは物の影のやうな存在で、勘兵衞には信用されて居りましたが、家中うちぢうの者は、まるつきり相手にもしません。
能樂師のうがくし松本金太郎まつもときんたらう叔父をぢてきは、どうふはもとより、うした豆府とうふだいのすきで、したがつて家中うちぢうみなたしなんだ。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今にもあの電鈴の愉快な音が、勢よく家中うちぢうに鳴り渡つたら、おれはこの肱掛椅子から立上つて、早速さつそく遠来の珍客を迎へる為に、両腕を大きくひろげた儘、戸口の方へ歩いてかう。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
頼んで置いた車がしとて此処ここからして乗り出せば、家中うちぢう表へ送り出してお出を待まするの愛想、御祝義の余光ひかりとしられて、あとには力ちやん大明神様これにも有がたうの御礼山々。
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かひこみなお玉の母親の心に感じたものか眼もまばゆい金銀の糸を吐いて大きな繭を家中うちぢうにかけてりましたから今まで真暗まつくらなみじめなお玉のいへの中はまるで王様のお住居すまゐの様に光り輝いてりました。
金銀の衣裳 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
これといつてなにひとつ取りとめたおはなしもいたしませんでしたのねえ、せまい私の家中うちぢうまはつてゐるまあちやんとせつちやんのあそびは、二人ふたりのやりかけた話をたび/\さらつてきました、私はたゞ
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
五千兩の紛失と、隱居の葬式の行惱みで、家中うちぢうの者が逆上のぼせて居る間に、誰かの手が、この少年を後ろから一突にやつたのでせう。
とうさんのおうち石臼いしうす青豆あをまめくのが自慢じまんでした。それを黄粉きなこにして、家中うちぢうのものに御馳走ごちさうするのが自慢じまんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
……きふごしらへのあぶらりないしらちやけた提灯ちやうちん一具ひとつに、ちひさくなつて、家中うちぢうばかりぱち/\として、陰氣いんき滅入めいつたのでは、なんにも出來できず、くちもきけない。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まあなんおもふておいでなさると此樣こんことひかけるに、おつしやるまでもなく、どんなに家中うちぢうさびしくりましよう、東京こゝにおいであそばしてさへ、一ト月も下宿げしゆくらつしやるころ日曜にちえうまちどほで
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのたのし爐邊ろばたには、ながたけつゝとおさかなかたなはとで出來できすゝけた自在鍵じざいかぎるしてありまして、おほきなおなべもの塲所ばしよでもあり家中うちぢうあつまつて御飯ごはんべる塲所ばしよでもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
一人ひとりはふしていたところで、留守るすやまからさるて、沸湯にえゆ行水ぎやうずゐ使つかはせる憂慮きづかひけつしてないのに、たれかついてらねばとなさけから、家中うちぢう野良のらところを、よめ一人ひとりあとへのこして
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まけ家中うちぢう無事ぶじなものは一人ひとりかつた。が不思議ふしぎわしだけがたすかりました。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をつけてるのだから、臺所だいどころ、ものおきあらしても、めつたにたゝみませないのに、大地震おほぢしん一搖ひとゆれで、家中うちぢうあなだらけ、隙間すきまだらけで、我家わがや二階にかいでさへ、壁土かべつち塵埃ほこりすゝと、ふすま障子しやうじほねだらけな
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家中うちぢうなめたをとこでも、むらがある。世間せけんがある。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)