“かちゆう”の漢字の書き方と例文
語句割合
家中100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
舊くはあるがゆかしい家中かちゆう屋敷で、庭に咲く百日紅さるすべり、花はないまでも桔梗、芍藥なぞ、この地方の夏はそこにも深いものがあつた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
梯子段には敷物なければ、恰も氷を踏砕ふみくだくが如き物音、人気ひとけなき家中かちゆうに響き、何処いづこより湧きいづるとも知れぬ冷き湿気、死人の髪の如くに、余が襟元を撫で申候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
と言つて、かやうの事は下賤のすべき働きで、知行取ちぎやうどりは別にしなければならぬ仕事がある筈だ。あんな事が流行はやつては、家中かちゆうの風儀が悪くなるからといふので、その男はながいとまを取らせられた。