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うちぢゆう
ふりがな文庫
“
家中
(
うちぢゆう
)” の例文
小指は
家中
(
うちぢゆう
)
の
祕藏兒
(
ひざうつこ
)
、泣蟲の小僧だが、始終母親の腰巾著になつて引摺られてゐるから、まるで
啖人鬼女
(
ひとくひをんな
)
の口にぶら
下
(
さが
)
る
稚兒
(
ちご
)
のやうだ。
五本の指
(旧字旧仮名)
/
ルイ・ベルトラン
(著)
家中
(
うちぢゆう
)
で一番広い客座敷の縁先には、
亡
(
なくな
)
つた人達の
小袖
(
こそで
)
や、年寄つた母上の若い時分の長襦袢などが、幾枚となくつり下げられ
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
毛の乾くのを待つて居られないといふ風に、
家中
(
うちぢゆう
)
馳けずり廻つて、小さな体を到るところに
擦
(
こす
)
りつけて、ごろ/\部屋の
内
(
なか
)
を転がつて歩いた。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると、夜になつて
家中
(
うちぢゆう
)
の鼠がこそ/\這ひ出して来て、
鱈腹
(
たらふく
)
それを食べるが、籾二斗で
恰度
(
ちやうど
)
一年分の餌に足りるさうだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかしどつかに、一銭
位
(
ぐらゐ
)
おちてゐるかも知れないと思つて、
家中
(
うちぢゆう
)
の敷物をめくつて、板のすきまをほじくつて見ましたが、一銭もみつかりません。
歯と眼の悪いおぢいさん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
▼ もっと見る
「あなたは、この
家中
(
うちぢゆう
)
に箪笥といふものが一本もないのを変にお思ひでせう?」と婆やは軽く笑ひながら言ふ。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
御米
(
およね
)
は
家中
(
うちぢゆう
)
を
一回
(
ひとまはり
)
回
(
まは
)
つた
後
(
あと
)
、
凡
(
すべ
)
てに
異状
(
いじやう
)
のない
事
(
こと
)
を
確
(
たし
)
かめた
上
(
うへ
)
、
又
(
また
)
床
(
とこ
)
の
中
(
なか
)
へ
戻
(
もど
)
つた。さうして
漸
(
やうや
)
く
眼
(
め
)
を
眠
(
ねむ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
富江が来ると、
家中
(
うちぢゆう
)
が急に賑かになつて、高い笑声が立つ。
暑熱
(
あつさ
)
盛りをうつら/\と
臥
(
ね
)
てゐたお柳は今し方起き出して、東向の縁側で静子に髪を結はしてる様子。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そんなだらしの無い恰好をして居るところを、おかみさんに見つかると、肚ではそれ程怒つてゐなくても、言葉の調子の男のやうに荒いのが、
家中
(
うちぢゆう
)
に響く小言を浴せかける。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
燥
(
はし
)
やぎのジム(
飼犬
(
いぬ
)
の名)が人々の後を追ひかけ廻つて
叱
(
しか
)
られたり、子供たちが走つて
転
(
ころ
)
んで
収穫物
(
とりいれもの
)
が笊の中から飛び出して地べたをころ/\ころがりあるいたり、……そんな日には
家中
(
うちぢゆう
)
に愉快な
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
博士は京都大学の近くに住んでゐるが、
家中
(
うちぢゆう
)
は脚の踏み込むところもない程ぎつしり
書物
(
ほん
)
で詰まつてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
母のお
柳
(
りう
)
は昔盛岡で名を売つた
芸妓
(
げいしや
)
であつたのを、父信之が学生時代に買馴染んで、其為に退校にまでなり、
家中
(
うちぢゆう
)
反対するのも
諾
(
き
)
かずに無理に落籍さしたのだとは
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「こゝは
寒帶
(
かんたい
)
だから
炬燵
(
こたつ
)
でも
置
(
お
)
かなくつちや
凌
(
しの
)
げない」と
云
(
い
)
つた。
小六
(
ころく
)
の
部屋
(
へや
)
になつた六
疊
(
でふ
)
は、
疊
(
たゝみ
)
こそ
奇麗
(
きれい
)
でないが、
南
(
みなみ
)
と
東
(
ひがし
)
が
開
(
あ
)
いてゐて、
家中
(
うちぢゆう
)
で
一番
(
いちばん
)
暖
(
あたゝ
)
かい
部屋
(
へや
)
なのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幸日曜日で、わたしが家にゐましたから、女房を紹介して、それから
家中
(
うちぢゆう
)
どこも見えるやうに、わざと障子や唐紙を明けたまゝにして、少し話をしてから、バスの停留場まで送つて行きました。
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
朝になると、
家中
(
うちぢゆう
)
には金のやうな黄色い日の光が一ぱいさします。それは水の中の
紅宝石
(
ルービー
)
や
緑柱石
(
エメラルド
)
でかざつた御殿よりも、もつと美しいだらうと思ひます。どうぞ私と一しよに入らしつて下さい。
湖水の鐘
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
お母さんは
家中
(
うちぢゆう
)
をさがしましたが、月謝の袋は出て来ませんでした。
月謝の袋を失くしたあひるさん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
(此日には源助さんが白井様へ上つて、お
家中
(
うちぢゆう
)
の人の髪を刈つたり顔を
剃
(
あた
)
つたりするので、)大抵村の人が三人四人、源助さんの
許
(
とこ
)
で
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
ふか
)
しながら世間話をしてゐぬ事はなかつた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そしてお猫さんの
家中
(
うちぢゆう
)
を泥足でふんづけて帰つて行きました。
お鼻をかじられたお猫さん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
“家中”の意味
《名詞》
(かちゅう、いえじゅう)家、屋敷の中。
(かちゅう、いえじゅう)家全体。家族全員。
(かちゅう)大名の家臣全体。
(出典:Wiktionary)
“家中”の解説
家中(かちゅう)は、日本の中世から近世にかけての武家、およびその家臣団のことである。江戸時代においては大名領(藩)を支配する組織、または大名に仕える武士(藩士)のこと、あるいは大名の領土自体を指した。
(出典:Wikipedia)
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“家中”で始まる語句
家中誰
家中取鎮
家中粒選