家中いへぢう)” の例文
亭主は家中いへぢうに有りけのお金でお神さんの望み通りの馬車をこしらへて遣りました。お神さんは喜んでそれに乗つて方々をかけまはりました。
金剛石 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
越前國ゑちぜんのくに大野郡おほのごほり山家やまがむらことである。はる小正月こしやうぐわつわかいものは、家中いへぢうみなあそびにた。ぢいさまもみにく。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いおちやにほひがするのと、家中いへぢうでみんなはたらいてるので、とうさんもすずめと一しよにそこいらををどつてあるきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
亭主は直ぐに家中いへぢうにある一番良いきれを切つてお神さんの着物をこしらへてその上に靴から帽子手提袋まで作つて与へますとお神さんは大喜びでそれを
金剛石 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
もう一度いちどおぼえてない。いづれも大事だいじいたらなかつたのは勿論もちろんである。が、家中いへぢうみづつて、こほつた。三年目さんねんめときごときは、翌朝よくあさめししるてて、のき氷柱つらゝいたかつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
林檎りんごのやうにあか祖母おばあさんのほゝぺたは、家中いへぢうのものゝこゝろをあたゝめました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)