家中うちじゆう)” の例文
家中うちじゆうをとぼして何かまだ笑ひさゞめいてゐる店もあつた。その家々の屋根の上には、雪が降つたかと思ふやうに月のひかりが白く照り渡つてゐた。
吉野の、何処か無愛相な、それでゐてソツのない態度は、先づ家中うちじゆうの人に喜ばれた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)