トップ
>
家中
>
うちじゅう
ふりがな文庫
“
家中
(
うちじゅう
)” の例文
(
家中
(
うちじゅう
)
無事か、)といったそうでございますよ。見ると、
真暗
(
まっくら
)
な破風の
間
(
あい
)
から、ぼやけた鼻が
覗
(
のぞ
)
いていましょうではございませんか。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家中
(
うちじゅう
)
のものが、そのために不自由をする。あたしゃ、お前さんが気の毒だから、万一の
粗相
(
そそう
)
がないように、そういってあげたまでだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
次女は
家中
(
うちじゅう
)
一番の不平家である。兄もあれば姉もある。妹もあれば弟もある。有らゆるものを持っているのが却って苦情の種になる。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その時に
家中
(
うちじゅう
)
が引っくり返るほど笑い転げていた事を思い出すと、やはりソンナ話を
睾丸
(
きんたま
)
の毛を剃り剃り父が話していたのかも知れぬ。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼女の結婚が
家中
(
うちじゅう
)
の問題になったのもつまりはそのためであった。お重はこの問題についてよくお貞さんを
捕
(
つら
)
まえて離さなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
お前は始終
患
(
わずら
)
ってばかりいるのだから、一と月や二た月転地するよりもいっそ
家中
(
うちじゅう
)
でもっと空気のいい処へ引越すことにしよう。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
返すのが惜しいのだけどね、でも、お前は帰らなきゃアいけないのよ。お前は
家中
(
うちじゅう
)
で一番可愛がられるようにならなきゃアいけませんよ。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
祖母はその間に
厠
(
はばかり
)
へゆくふりをして、すっかり
家中
(
うちじゅう
)
を見てきた。外に
見張
(
みはり
)
が一人いるのが蔵の二階の窓から月の光りで見えた。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
家中
(
うちじゅう
)
の男子が現場へはせつけた。相手は一人だけれど飛び道具を持っているので、うかつに近寄れぬ。人々は彼を遠巻きにして騒ぎ立てた。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お累が熱湯を浴びましたので、
家中
(
うちじゅう
)
大騒ぎで、医者を呼びまして
種々
(
いろ/\
)
と手当を致しましたが
何
(
ど
)
うしてもいかんもので、
火傷
(
やけど
)
の
痕
(
あと
)
が出来ました。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そうしてそんな荒仕事がどうかすると
寧
(
むし
)
ろ彼女に適しているようにすら思われた。養蚕の季節などにも彼女は
家中
(
うちじゅう
)
の誰よりも善く働いてみせた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あすこじゃこの頃、
家中
(
うちじゅう
)
がトルストイにかぶれているもんだから、こいつにも御大層なピエルと云う名前がついている。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
結い立ての天神髷を振りこわして、白い顔をゆがめて、歯を食いしばって、
火焙
(
ひあぶ
)
りになって
家中
(
うちじゅう
)
を転げ廻って、苦しみもがいている女の姿は……。
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
家中
(
うちじゅう
)
、代り番こに、ねず番しとるんじゃ。一朱銀の一つも持ってくるがええ。大根の一本や二本くれてやるけにな。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
二葉亭の家では主人の次には猫が
大切
(
だいじ
)
にされた。主人の留守に猫に
粗糙
(
そそう
)
があっては大変だといって、
家中
(
うちじゅう
)
がどれほど猫を
荷厄介
(
にやっかい
)
にして心配したか知れない。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
家中
(
うちじゅう
)
の者の定説では、わたしはたしかに猫の
敵
(
かたき
)
と見られている。わたしはかつて猫を殺したことがある。
平常
(
いつも
)
好く猫を
打
(
う
)
つ、ことに彼等の交合の時において甚しい。
兎と猫
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
学校の
門前
(
もんぜん
)
を車は通り抜けた。そこに
傘屋
(
かさや
)
があった。
家中
(
うちじゅう
)
を油紙やしぶ皿や糸や道具などで散らかして、そのまんなかに五十ぐらいの
中爺
(
ちゅうおやじ
)
がせっせと傘を張っていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
家中
(
うちじゅう
)
に人一人いないのです。——飾ってある家具類や絵は至って平凡な凡俗なものばかりでしたが、私が、例の奇妙な顔を見た窓のついている寝室の中だけは別でした。
黄色な顔
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
御飯は勿論茶もほしくないです、このままお暇願います、明日はまた早く上りますからといって帰ろうとすると、
家中
(
うちじゅう
)
で引留める。民子のお母さんはもうたまらなそうな風で
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
だんだん
鬼
(
おに
)
のような
心
(
こころ
)
になって、いつもこの
子
(
こ
)
を
目
(
め
)
の
敵
(
かたき
)
にして、
打
(
ぶ
)
ったり、
敲
(
たた
)
いたり、
家中
(
うちじゅう
)
を
追廻
(
おいまわ
)
したりするので、かわいそうな
小児
(
こども
)
は、
始終
(
しょっちゅう
)
びくびくして、
学校
(
がっこう
)
から
帰
(
かえ
)
っても
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
両親は
逗子
(
ずし
)
とか
箱根
(
はこね
)
とかへ
家中
(
うちじゅう
)
のものを連れて行くけれど、自分はその頃から文学とか音楽とかとにかく中学生の身としては監督者の眼を忍ばねばならぬ不正の娯楽に
耽
(
ふけ
)
りたい必要から
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
家中
(
うちじゅう
)
の者が心配して、人目につかないように、江戸のお方や弦之丞様を、大阪から離れた
隠
(
かく
)
れ
家
(
が
)
へやってあるものを、私が出入りなどすれば、また蜂須賀家の侍が
嗅
(
か
)
ぎつけようも知れないし……。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこから
例
(
いつも
)
の手で、
紐
(
ひも
)
を伝わって、
猿
(
ましら
)
のごとく忍び込んだ曲者は、ちょうど、目を覚して飛起きた、娘のお琴を一と当て、
猿轡
(
さるぐつわ
)
を噛ませた上、
雁字
(
がんじ
)
がらめにして、そのまま
家中
(
うちじゅう
)
を捜したのでしょう
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それで
家中
(
うちじゅう
)
もうすっかり
怖気
(
おぞけ
)
を
揮
(
ふる
)
っておりますので」
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼はこの
宵
(
よい
)
の自分を顧りみて、ほとんど
夢中歩行者
(
ソムナンビュリスト
)
のような気がした。彼の行為は、
目的
(
あて
)
もなく
家中
(
うちじゅう
)
彷徨
(
うろつ
)
き廻ったと一般であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ一つ、盗まれたものはないかと
家中
(
うちじゅう
)
を調べているうちに、押入の隅に祭ってある仏壇らしいものに線香も何も上げてない。
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
家中
(
うちじゅう
)
が
悉皆
(
すっかり
)
片付いて仕舞って、乃公は何処にいて
宜
(
い
)
いのだか分らない。するとお島が又出て来て、服を着替えさせてくれた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
次に
家中
(
うちじゅう
)
の人々の個別訊問が行われた。主人から召使の末まで、階下の応接室に呼集められ、一人一人質問を受けた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『やあ、それはどうも……。まつたく御同様にひどい目に逢ひましたね。わたくし共なんぞもこの始末です。』と、かれは笑ひながら
家中
(
うちじゅう
)
をみまはした。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今まで、
家中
(
うちじゅう
)
で婆やの次に、起きていた新子が、
夜更
(
よふか
)
し続きで、つい寝坊になり、この頃では十一時過ぎまで、寝てしまっても、なお頭の重い感じである。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
してみれば、この茄子は、災難よけのお
守護
(
まもり
)
だ、と細かに刻んで、
家中
(
うちじゅう
)
持っておりました
処
(
とこ
)
もござります。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何処
(
どこ
)
で伺を立てゝも
御鬮
(
みくじ
)
判断をして貰っても死霊と
生霊
(
いきりょう
)
との祟りだと云われて見れば、神経だから
家中
(
うちじゅう
)
が心配致し、事によったら吉原の花魁が怨んでは居ないか
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この三、四日、何だか
家中
(
うちじゅう
)
引っ掻き廻されているような、一種の不安が始終
頭脳
(
あたま
)
に附き
絡
(
まと
)
うていたが、今夜の女の酒の飲みッぷりなどを見ると、一層不快の念が
兆
(
きざ
)
して来た。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は是非とも、
新
(
あらた
)
に二度目の飼犬を置くように主張したが、父は犬を置くと、さかりの時分、
他処
(
よそ
)
の犬までが来て
生垣
(
いけがき
)
を破り、庭を
荒
(
あら
)
すからとて、其れなり、
家中
(
うちじゅう
)
には犬一匹も置かぬ事となった。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そんなにして
家中
(
うちじゅう
)
が子供を欲しがっておいでになりましたところへ、私というものが出来ましたのですから、そのお喜びはどんなだったでしょう。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
Kは一時二十分だと答えました。やがて
洋燈
(
ランプ
)
をふっと吹き消す音がして、
家中
(
うちじゅう
)
が真暗なうちに、しんと静まりました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを追っかけて取押えるよりも、先ず殿様を介抱しなければならないと云うので、
家中
(
うちじゅう
)
は大騒ぎになりました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
肝心のお父さんが
家中
(
うちじゅう
)
を呼び寄せるような容態では、まあ、好い塩梅に持ち直すにしろ、万一このまゝいけなくなるようなら尚おのこと、こゝ当分は一
頓挫
(
とんざ
)
だ
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
幸「只今
私宅
(
わたくしかた
)
へ強盗が押入りまして、
家中
(
うちじゅう
)
に血が垂れて居りますから、
直
(
すぐ
)
に御出張を願います」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
エ、容態ですって? あなた何かお聞込みになったことでもあるんですか。わしの方では容態どころか、全く
行衛
(
ゆくえ
)
が分らんのです。しかも、
家中
(
うちじゅう
)
のものが、あれの外出するのを
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それでも大事にして置かないと、院長は
家中
(
うちじゅう
)
の稼ぎ人で、すっかり経済を引受けてるんだわ。お
庇様
(
かげさま
)
で一番末の妹の九ツになるのさえ、早や、ちゃんと嫁入支度が出来てるのよ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家中
(
うちじゅう
)
はそれなり
寂
(
しん
)
として物音を絶やした。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
わたしも、おかみさんと一緒になって
家中
(
うちじゅう
)
を探して見たんですけれども、お菊さんの影も形も見えないんです。
半七捕物帳:02 石灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
赤煉瓦塀
(
あかれんがべい
)
の中へ這入り込んだ……、
家中
(
うちじゅう
)
の者がモーターボートで島巡りに出て行くところを
今朝
(
けさ
)
から見ていたので……そうして縁側の小松の蔭に吊してある
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
水を浴びる音ばかりではない、折々大きな声で相の手を入れている。「いや結構」「どうも良い心持ちだ」「もう一杯」などと
家中
(
うちじゅう
)
に響き渡るような声を出す。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
傘
(
からかさ
)
をがさりと掛けて、
提灯
(
ちょうちん
)
をふっと消す、と
蝋燭
(
ろうそく
)
の
匂
(
におい
)
が立って、
家中
(
うちじゅう
)
仏壇の
薫
(
かおり
)
がした。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お島め乃公をポチか何かと思って、お膳を
投出
(
ほうりだ
)
して、御丁寧に悲鳴を揚げた。馬鹿な奴だ。
家中
(
うちじゅう
)
の人が井戸
浚
(
がえ
)
でも始ったように寄って
集
(
たか
)
って来た。茶碗も何も
粉微塵
(
こなみじん
)
になって了った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
狭い薄暗い
家中
(
うちじゅう
)
が、天井からどこから、自転車のフレームやタイヤで充満していたり、そして、それらの殺風景な家々の間に挟まって、細い格子戸の奥にすすけた御神燈の下った二階家が
白昼夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
暁方
(
あけがた
)
になってお隅がいない処から
家中
(
うちじゅう
)
捜しても居ない、六畳の小間が血だらけになっているから掻巻を
撥
(
はね
)
ると、富五郎が非業な死に
様
(
よう
)
、
傍
(
わき
)
の処に書置が二通あって、これにお隅の名が書いてあるから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから昨晩、
家中
(
うちじゅう
)
の者が一人残らず寝静まってしまいましたのが午前の二時頃の事で御座いましたろうか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“家中”の意味
《名詞》
(かちゅう、いえじゅう)家、屋敷の中。
(かちゅう、いえじゅう)家全体。家族全員。
(かちゅう)大名の家臣全体。
(出典:Wiktionary)
“家中”の解説
家中(かちゅう)は、日本の中世から近世にかけての武家、およびその家臣団のことである。江戸時代においては大名領(藩)を支配する組織、または大名に仕える武士(藩士)のこと、あるいは大名の領土自体を指した。
(出典:Wikipedia)
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“家中”で始まる語句
家中誰
家中取鎮
家中粒選