祖父おぢいさん)” の例文
二十代や三十代の、だ血の気の生々なま/\した頃は、人に隠れて何程どれほど泣いたか知れないよ、お前の祖父おぢいさん昔気質むかしかたぎので、仮令たとひ祝言しうげんさかづきはしなくとも、一旦いつたん約束した上は
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
目下いま持上つてゐる縁談が、種々いろいろの事情があつて両親始め祖父おぢいさんまでが折角勧めるけれど、自分では奈何どうしてもく気になれない、此心をよく諒察くみとつて、うまく其間に斡旋あつせんしてくれるのは
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ヘエ、何処どこから其様そんなに人が参りますか」と篠田のいぶかるを、伯母は事も無げに首肯うなづきつ「私の知つとる程の人が、皆な寄つて来るよ、——お前の阿父おとつさんも来る、阿母おつかさんも来る、祖父おぢいさん祖母おばあさんも来なさる、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)