祖父ぢぢい)” の例文
そこでわしたち子供一同は一塊りに寄りたかつて、老いこんでもう五年の余も煖炉ペチカから下りて来ない祖父ぢぢいの話に聴き入つたものぢや。
祖父ぢぢいは四角な字をば読んだ人でござんす、つまりは私のやうな気違ひで、世に益のない反古紙ほごがみをこしらへしに、版をばおかみから止められたとやら、ゆるされぬとかにて断食して死んださうに御座んす
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さて、ものの百年も前には、死んだ祖父ぢぢいの話では、こんな村など、誰ひとり知つてゐる者は無かつたさうぢや。
わしの祖父ぢぢいの親身の叔母が、そのころ今のオポシュニャンスカヤ街道で居酒屋をやつてゐたが、そこでよく
⦅馬鹿な奴ぢやて、こんな良い煙草は、彼奴の親爺も祖父ぢぢいも嗅いだことはなかつたらうに!⦆そこで、また、彼は掘りにかかつた——土はやはらかで、鋤が楽にとほると、何かカチッと音がした。