祖父おおじ)” の例文
祖父おおじ伯叔父おじおじ、一統いずれも故人だが、揃って能楽師だった母方のその血をうけて、能が好きだから、間を見ては舞台をのぞく。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その耳面刀自と申すは、淡海公の妹君、郎女の祖父おおじ南家太政大臣なんけだいじょうだいじんには、叔母君にお当りになってでおざりまする。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
江戸を落ちた徳川のながれの末の能役者だったという、八郎の母方の祖父おおじ伯父また叔父、続いて祖母おおば伯母おばまた叔母などの葬られた、名も寺路町てらみちまちというのの菩提寺ぼだいじであった。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
祖父おおじ武智麻呂むちまろのここで亡くなって後、父が移り住んでからも、大分の年月になる。父は男壮おとこざかりには、横佩よこはき大将だいしょうと謂われる程、一ふりの大刀のさげ方にも、工夫を凝らさずには居られぬだてものであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
わしが立合うて、思うには、祖父おおじ祖母おおば、親子姉妹、海山百里二百里と、ちりちりばらばらになったのが、一つ土に溶け合うのに、瀬戸もののかけまじっては、さぞいたかろう。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)