父上おとつ)” の例文
其耳があてに成らないサ。君の父上おとつさんは西乃入にしのいりの牧場に居るんだらう。あの烏帽子ゑぼしだけ谷間たにあひに居るんだらう。それ、見給へ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
実に我輩も意外だつた、君の父上おとつさんがくならうとは。何卒どうか、まあ、彼方あちらの御用も済み、忌服きぶくでも明けることになつたら、また学校の為に十分御尽力を願ひませう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私が呈げるツて言ふのに、叱るなんて——私は君の父上おとつさんとも懇意だし、それに、君の姉さんには種々いろ/\御世話に成つて居るし、此頃こなひだから呈げよう/\と思つて居たんです。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)