“西乃入”の読み方と例文
読み方割合
にしのいり100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其耳があてに成らないサ。君の父上おとつさんは西乃入にしのいりの牧場に居るんだらう。あの烏帽子ゑぼしだけ谷間たにあひに居るんだらう。それ、見給へ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
父牛は亜米利加アメリカ産、母牛は斯々しか/″\、悪い癖さへ無くば西乃入にしのいり牧場の名牛とも唄はれたであらうに、と言出して嘆息した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
うなると胸に浮ぶは父のことである。父といふのは今、牧夫をして、烏帽子ゑぼしだけふもとに牛を飼つて、隠者のやうな寂しい生涯しやうがいを送つて居る。丑松はその西乃入にしのいり牧場を思出した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)