阿爺おとう)” の例文
阿爺おとうさん後生ですから元々通り箪笥に蔵ひ込んで置いて下さい。万一もしか私が沙翁セキスピヤ物でもる事があつたら、その折着させて戴きます。何しろ結構な仕立で、何卒どうか樟脳をどつさり入れてね……」
二人の子供がその日当りのところにしゃがんで、しきりに何かしているので、傍へ行って見たら一生懸命に仕事に使う大きなおのいでいた。阿爺おとう、これでわしたちを殺してくれといったそうである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)