焦慮じら)” の例文
「悪い事をした。私はあなたに真実まことを話している気でいた。ところが実際は、あなたを焦慮じらしていたのだ。私は悪い事をした」
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
医者は何とかして口を利かせたいものだと、頭を絞つて色々の手段てだてを試してみたが、小娘は髪の毛一つ動かさない済ました顔で、石のやうに黙りこくつてゐる。かうしてさんざ焦慮じらしぬいた末
いった。焦慮じらせるのが悪いと思って、説明しようとすると、その説明がまたあなたを
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分は結果からいうと、焦慮じらされるために彼女の訪問を受けたと同じ事であった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
結果から云えば、自分は先刻さっき云った通りむしろ彼女から焦慮じらされたのであるから。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)