焦慮じれ)” の例文
二三日で熱が退かないと云って焦慮じれるような軽い病症ではあるまい。知らせれば心配する。云わねば気で通す。その上かんを起す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「だつて……」と友達は焦慮じれつたさうに言つた。「君は吾々の仲間で一番富豪かねもちなんぢやないか。」
のみならずまゆは両方からせまって、中間に数滴の薄荷はっかを点じたるごとく、ぴくぴく焦慮じれている。鼻ばかりは軽薄に鋭どくもない、遅鈍に丸くもない。にしたら美しかろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)