焦慮)” の例文
あゝも思ひかくも思つてみるけれど、立寄つた先や、用事の見当がつかなければつかないほど、私の心は焦慮れて来て、無暗に何かに当り散らしたくなる。
脱殻 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
すべてが思ふやうにならないといつて焦慮れるのは、私が悪くなくてなんであらう。自らをいやすものは自らの外にある筈がない。それを私はあの人に望んでゐる。
脱殻 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
そのいつまでもほぐれない顔色を見て居るうちに、それが女の資格を失ふことでゝもあるかのやうに、私の心は焦慮れて口惜しがつて来る。そして意地になつて男の心を随はせようとかゝる。
脱殻 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)