風采ふうつき)” の例文
はらいたか、げつそりとした風采ふうつき。ひよろりとして飛脚ひきやくあたままへにある椅子いすにぐたりとこしけた、が、ほそ身體からだをぶる/\とつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
保険か何ぞの勧誘員が、紹介人と一所に来たらしい風采ふうつきなのを、さも恋路ででもあるように、老人感に堪えた顔色かおつき
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
するとだ……まだその踏切を越えて腕車くるまを捜したッてまでにもかず……其奴そいつ風采ふうつきなんぞくわしく乗出して聞くのがあるから、私は薄暗がりの中だ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此の……県に成上なりあがりの豪族、色好いろごのみの男爵で、面構つらがまえ風采ふうつき巨頭公あたまでっかちようたのが、劇興行しばいこうぎょうのはじめからに手を貸さないで紫玉を贔屓ひいきした、既に昨夜ゆうべ或処あるところ一所いっしょに成る約束があつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この……県に成上なりあがりの豪族、色好みの男爵で、面構つらがまえ風采ふうつき巨頭公あたまでっかちによう似たのが、しばい興行のはじめから他に手を貸さないで紫玉を贔屓ひいきした、既に昨夜ゆうべもある処で一所になる約束があった。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きかぬ気らしいかみさんの、黒天鵝絨くろびろうどの襟巻したのが、同じ色の腕までの手袋をめた手に、細い銀煙管ぎんぎせるを持ちながら、たなが違いやす、と澄まして講談本を、ト円心まるじんかざしていて、行交う人の風采ふうつき
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)