はなは)” の例文
また獅と呼ぶのは同じく東半球に住まぬピューマなるなど猫属の諸獣の性質はなはだ相似たる点から名称の混雑はすくなくない。
今日けふまで私ははなはだ都合のいことを考へて居た。自分の目的は目的として置いて、衣食の道は別にするやうな方針を取つて来た。それが自分の目的に一番かなつたことだと信じて来た。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
このとし漢王かんおう高煦こうこう反す。高煦は永楽帝の子にして、仁宗の同母弟、宣徳帝せんとくてい叔父しゅくふなり。燕王の兵を挙ぐるや、高煦父にしたがって力戦す。材武みずからたのみ、騎射をくし、はなはだ燕王にたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
浮世に背き微志を蓄へてより、世路はなは峭嶢せうげう、烈々たる炎暑、凄々せい/\たる冬日、いつはつべしとも知らぬ旅路の空をうち眺めて、しば/\、正直男と共に故郷なつかしく袖を涙にひぢしことあり。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
南洲はいんかいせず、ひて之をつくす、たちま酩酊めいていして嘔吐おうどせきけがす。東湖は南洲の朴率ぼくそつにしてかざるところなきを見てはなはだ之をあいす。嘗て曰ふ、他日我が志をぐ者は獨此の少年子のみと。
かの逆巻さかまく波に分け入りし宮が、息絶えて浮び出でたりし其処そこの景色に、似たりともはなはだ似たる岸の布置たたずまひしげり状況ありさま乃至ないしたたふる水のあやも、透徹すきとほる底の岩面いはづらも、広さの程も、位置も、おもむき
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その沒理想の造化ははなはだゾラが造化に肖たり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
予かつて生きた品を獲たが暫くして死んだからその活態を知らぬ。海馬、和名はタツノオトシゴまた竜の駒、みづちの子など呼び、その頭馬にはなはだ似、左右の眼カメレオン同前別々に動く。