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酷
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ひど
ふりがな文庫
“
酷
(
ひど
)” の例文
足りなければ何回でもお
詫
(
わび
)
します。しかしあんなことのために全然愛想づかしをして、前々からの手紙まで取り返すというのは
酷
(
ひど
)
い。
ふみたば
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
それは
己
(
じぶん
)
が捨てて来た唖の女ではないか。石川は急いで車に乗って一行の
後
(
あと
)
を追ったが、
酷
(
ひど
)
い熱が出て芝居ができないようになった。
唖娘
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
わたしの口からお父さまの名を申し上げられるでしょうか? どんなに
酷
(
ひど
)
い目に遭わされたとて、たとえ八つ裂きにして殺されても
錯覚の拷問室
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
頬邊
(
ほつぺた
)
は、
可
(
い
)
い
鹽梅
(
あんばい
)
に
掠
(
かす
)
つたばかりなんですけれども、ぴしり/\
酷
(
ひど
)
いのが
來
(
き
)
ましたよ。
又
(
また
)
うまいんだ、
貴女
(
あなた
)
、
其
(
そ
)
の
石
(
いし
)
を
投
(
な
)
げる
手際
(
てぎは
)
が。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「さうねえ、だけれど
衆
(
みんな
)
があの人を目の
敵
(
かたき
)
にして乱暴するので気の毒だつたわ。隣合つてゐたもんだから私まで
酷
(
ひど
)
い目に
遭
(
あは
)
されてよ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
「
余
(
あんま
)
り
酷
(
ひど
)
すぎる」と
一語
(
ひとこと
)
僅
(
わず
)
かに
洩
(
もら
)
し得たばかり。妻は涙の泉も
涸
(
かれ
)
たか
唯
(
た
)
だ自分の顔を見て血の気のない
唇
(
くちびる
)
をわなわなと
戦
(
ふる
)
わしている。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼
(
かれ
)
が
薦
(
こも
)
つくこを
擔
(
かつ
)
いで
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
は
日向
(
ひなた
)
の
霜
(
しも
)
が
少
(
すこ
)
し
解
(
と
)
けて
粘
(
ねば
)
ついて
居
(
ゐ
)
た。お
品
(
しな
)
は
勘次
(
かんじ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
の
間
(
ま
)
居
(
ゐ
)
なく
成
(
な
)
つたので
酷
(
ひど
)
く
寂
(
さび
)
しかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
もうこの時は夕暮れでジョン少年は
疲労
(
つか
)
れてもいたし
酷
(
ひど
)
く腹も空いていたので、その家へ行って、宿も乞い食物も貰おうと決心した。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのお高婆さんが、嫁入当時多くの女が経験するやうに(女としては何といふ有難い経験であらう)
酷
(
ひど
)
く
姑
(
しうとめ
)
に
苛
(
いぢ
)
められた事があつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ゆうべは少し彼に
酷
(
ひど
)
い目をあわせ過ぎたようでもあるが、それも彼の修行の足しになることと承知して武蔵はしていることであった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酷
(
ひど
)
く剛情を張るような事があれば、父母の顔色を
六
(
むず
)
かしくして睨む位が頂上で、
如何
(
いか
)
なる場合にも手を
下
(
くだ
)
して
打
(
うっ
)
たことは一度もない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その上に運動不足とか、消化不良とかが、一緒に来る事もありますので、飛んでもない夢を見たり、
酷
(
ひど
)
く憂鬱になったりする訳ですね。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
井生森又作は
酷
(
ひど
)
い奴で、人を殺して居る騒ぎの中で血だらけの側にありました、三千円の預り証文をちょろりと
懐
(
ふところ
)
へ入れると云う。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
目まいが
酷
(
ひど
)
くなると
却
(
かえ
)
って肉体が酔うものであることを初めてかんじたのであった。かれは階段をいくつも下りながら考えていた。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「まあ
兄
(
にい
)
さん、
何
(
なに
)
をするんです。そんな
酷
(
ひど
)
い
目
(
め
)
にあはせるなんて、われもひとも生きもんだ 、つてこともあるじやありませんか」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
復た
何時
(
いつ
)
来られるものやら解らないから、と言って、達雄は
酷
(
ひど
)
く
名残
(
なごり
)
を惜んだ。三吉が表座敷で書いた物をも声を出して通読してみた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
内儀も
酷
(
ひど
)
く心を痛められる際と云い三時からは又裁判所の呼出しにも応ぜねば成らぬ事だから
最
(
も
)
う少しは休息なさらねば
能
(
よ
)
く有る
舞
(
ま
)
い
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
したか知らないけれど、みんなして、ああして
酷
(
ひど
)
い目に逢わせるんですもの、誰も、母ちゃんを助けてくれる人は一人もありません
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
アンドレイ、エヒミチは
此
(
こ
)
の
切
(
せつ
)
なる
同情
(
どうじやう
)
の
言
(
ことば
)
と、
其上
(
そのうへ
)
涙
(
なみだ
)
をさへ
頬
(
ほゝ
)
に
滴
(
た
)
らしてゐる
郵便局長
(
いうびんきよくちやう
)
の
顏
(
かほ
)
とを
見
(
み
)
て、
酷
(
ひど
)
く
感動
(
かんどう
)
して
徐
(
しづか
)
に
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そういう事は全く無いというてある僧侶などは弁護しますけれども、それは嘘なんで実はやはり修学中は随分
酷
(
ひど
)
い目に遇わされるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
吉田は実に不思議だといったような顔をして、「先生、僕は今実に
酷
(
ひど
)
い目に会いましたよ」と云いながら語るのを聞くとこうだ。
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
お気の毒様なこつたが
独活
(
うど
)
の
大木
(
たいぼく
)
は役にたたない、
山椒
(
さんしよ
)
は小粒で珍重されると高い事をいふに、この野郎めと脊を
酷
(
ひど
)
く打たれて
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
書終り
偖
(
さて
)
いかに酒は來りしや
大膳太夫
(
だいぜんのたいふ
)
殿と云へば露伴子ヂレ込み
先刻
(
さつき
)
聞合せると云たばかりに沙汰なしとは
酷
(
ひど
)
い奴だと烈しく手を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
「や、
酷
(
ひど
)
く降るな。」と、忠一は袖で顔を払った。それから更に庭を見渡したが、白い木立、白い竹藪、その
他
(
ほか
)
には何にも見えなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私のことを考へると氣持が惡くなると云つた、私が
淺
(
あさ
)
ましい程
酷
(
ひど
)
くお前に當ると云ひ張つたときのお前のあの
小兒
(
こども
)
らしくない眼付と聲を。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「あんな
馬鹿
(
ばか
)
な子供が、遠い所へ行つて
皆
(
みん
)
なに馬鹿にされて
酷
(
ひど
)
い目に逢ふことは無いでせうか。」おつ母さんがかう言つた時
蚊帳の釣手
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
上島と云ふ奴
酷
(
ひど
)
い男だ。以前は俺と毎晩飮んで歩いた癖に、此頃は馬鹿に竹山の宿へ行く。行つて俺の事を喋つたに違ひない。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
いずれも無残な仕方だが、まだ
酷
(
ひど
)
いのはアビシニア人が牛を生きながら食う法で、ブルースはかの国の屠者を暗殺者と呼んだ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
完成した著作を官に納め、父の墓前にその報告をするまではそれでもまだ気が張っていたが、それらが終わると急に
酷
(
ひど
)
い虚脱の状態が来た。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
隨分
酷
(
ひど
)
い目に遇ひながら、先づ相摸と武藏のあら方、それから
上野
(
かうづけ
)
の一部を歩いて、
慶應
(
けいおう
)
二年の暮おし詰めて江戸へ歸つた。
兵馬倥偬の人
(旧字旧仮名)
/
塚原渋柿園
、
塚原蓼洲
(著)
ところが、都会の学校生活を終って来たばかりの房子には、それが
酷
(
ひど
)
く気に入らなかった。何かにつけてそれを云い出した。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
それは、二人とも
酷
(
ひど
)
く似た
殺
(
そ
)
ぎ耳であって、その耳の形が明らかに彼らの身の薄命を予言しているかのごとく思われていた。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
実際また、いま日本の谷川に棲息している二尺か二尺五寸くらいの山椒魚でも、くらいついたり何かすると
酷
(
ひど
)
いそうです。
黄村先生言行録
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
納めるものを納めないで自由な暮しをして居るかと思えばそうでもなく、甚助の家よりもっと
酷
(
ひど
)
いと云う話を聞いて居る。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「いえ、あれで、から駄目なのでございます。少し体を使うと、その使ったところから痛み出して、そりゃ
酷
(
ひど
)
いのですわ」
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
厭ねえ正さん、何もそんなにむきになる事はないじゃないの、——あたしも少し云い過ぎたけど、おまえだって
酷
(
ひど
)
いよ。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何でも
彼嶺
(
あれ
)
さえ越せばと思って、前の月のある朝
酷
(
ひど
)
く
折檻
(
せっかん
)
されたあげくに、ただ一人思い切って上りかけたのであった。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「泣いて困った。それに病気して……。君は
酷
(
ひど
)
いじゃないか。僕が悪いにしても、出たきり何の
沙汰
(
さた
)
もしないなんて。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『
其樣
(
そん
)
な
事
(
こと
)
だらうとは
想
(
おも
)
ひました、
實
(
じつ
)
に
酷
(
ひど
)
い
目
(
め
)
にお
逢
(
あひ
)
になりましたな。』と、
今
(
いま
)
しも
射殺
(
ゐたを
)
したる
猛狒
(
ゴリラ
)
の
死骸
(
しがい
)
に
眼
(
まなこ
)
を
注
(
そゝ
)
いで
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「まア、
何殿
(
どなた
)
かと思ひましたら、
貴所
(
あなたさま
)
ですか——姉さん、
酷
(
ひど
)
いことねエ、知らして下ださらぬもんですから、飛んだ失礼致したぢや御座んせんか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
それは昔彼女の父が不幸のなかでどんなに
酷
(
ひど
)
く彼女を
窘
(
いじ
)
めたか、母はよくその話をするのであるが、すると私は
穉
(
おさな
)
い母の姿を空想しながら涙を流し
闇の書
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
昼のあひだの
酷
(
ひど
)
い暑気に蒸された川の面の臭ひに夜更けの冷気がしんしんと入れ混つて、たとへば
葦間
(
いかん
)
の腐臭を
嗅
(
か
)
ぐやうな不思議な
匂
(
におい
)
を
有
(
も
)
つた
靄
(
もや
)
が
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「ほんとにあいつは
酷
(
ひど
)
い奴やぞ、わざわざ母屋へ頼って来てるのに、俺とこへ連れて来て、何ぼ何でもあんまりや!」
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「女学校でもなんて
酷
(
ひど
)
いわね。けれども箱根から
彼方
(
むこう
)
は知らないんですから楽みですわ。早く沼津に着きたいものね」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
みんなが、あなたにあんな
酷
(
ひど
)
いことをしました。どうぞ許して下さい。わたしにはどうすることも出来ませんでした。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
『だッて、
私
(
わたし
)
は
先
(
さツ
)
きには
斯麽
(
こんな
)
に
小
(
ちひ
)
さかなかつたんですもの、なかつたんですもの!
眞箇
(
ほんと
)
に
餘程
(
よつぽど
)
酷
(
ひど
)
いわ、さうよ!』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
見ると正面の窓硝子が上に開いて、しかも硝子が
壊
(
こわ
)
れている。さっきの
酷
(
ひど
)
い音はこれだったのだ。怪人物は千鳥を奪って、
此処
(
ここ
)
から逃げたのに違いない。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
博士は立ち上ろうとしたが、
先刻
(
さっき
)
の衝突で
酷
(
ひど
)
く身体を打ったと見えて、腰の関節が痛んで中々立てそうもない。
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
もっと気の
利
(
き
)
いた使いが来て、事情さえわかればこんな
酷
(
ひど
)
くならないうちに、来たものを! と再び後悔した。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
すぐに
病人
(
びやうにん
)
を
連
(
つ
)
れてゆけつて
酷
(
ひど
)
い
事
(
こと
)
をぬかしやがる、
此方
(
こつち
)
もつい
嚇
(
かつ
)
として
呶鳴
(
どな
)
つて
來
(
き
)
ちやつたんですが…………
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
“酷”の意味
《形容動詞》
酷(ひど)い。厳(きび)しい。
(出典:Wiktionary)
酷
常用漢字
中学
部首:⾣
14画
“酷”を含む語句
苛酷
惨酷
残酷
酷似
酷烈
手酷
酷使
慘酷
冷酷
殘酷
小酷
酷待
真一酷
酷薄
峻酷
深酷
酷過
一酷
酷吏
酷熱
...