むごた)” の例文
成る程、屍体の後頭部には鉄の棒で殴り付けた様な穴が、破壊された骨片こっぺんをむき出してむごたらしくぶちぬかれている。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
さぞむごたらしいであろうその屍体したいが、このぼーっ、ぼーっと照しだされる蛍火の下では、どうしたことか却って、夢に描かれたように、ひどく現実離れのした倒錯した美しさを見せるのであった。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
やぶがさくるまでは、べつあなどられはづかしめられるともおもはなかつたが、いまうしけられたのをると、むごたらしくて我慢がまん出来できない! きざんだものではあるが、ふしから両岐ふたまたかれさうにおもはれて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
でも、その死顔は実に綺麗だったですねえ、美少女が海岸の雑草の中に折れ朽ちたように寝、胸には匕首がささっているんですが、光線の不足で適当にぼかされて、少しもむごたらしくないんです。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)