ひで)” の例文
亭「意趣返しが……はア今に帰るべえに、わし此処こゝにいたら、又ひでえ目に逢わねえとも云われやせん、まアお気をお付けなせえまし」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
牛蒡ごばうもうつかりしてなはしばつてけちや、其處そこからくされがへえつてひでえもんだな、わらぽどきれえだとえんのさな」勘次かんじ横合よこあひからいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
七色のにじを望みながら、悠然と御帰館相成ろうという寸法であったが、問屋がそううまく卸してくれぬことがあって、一度ひでえ目に遭ったことがある。
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「何んと、手この冷えていること! お前のお父さんひでえお父さんだな。よしよし、今すぐ牛乳ちちのませてやるよ」
凍雲 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
「うふふ、わしんとこ来てくれねえかな、う、酒もあるでな、全く何ちゅうひでえ雨だかよ」
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
「丁度よくぶつかってよかった。だが、いくら呼んでも返辞をしねえなあひでえよ。」
神棚 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ら、爺樣ぢいさま鐵火箸かなひばしばさつて、骨接ほねつぎつてとこだが、いそがところひでつちやつた」勘次かんじはそれでもくちしぶつておもやうにいへなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
勿体もったいねえから中央気象台にも教えてやろうか! と思わぬでもなかったが、いつかウソをいて、私を逗子ずしひでえ目に遭わせたうらみがあるから、止めにしてくれた。
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「さういへばまあ、あつちのはうひで洪水みづだつちはなしだつけがどうでござんしたね」女房にようばう手拭てぬぐひをとつていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)