はなはだ)” の例文
お牧の指が茶碗の縁に觸ると、もう私は食へませんでした。子供の潔癖は、特に私にははなはだしかつたのです。お牧ばかりでは有りません。
その天資、慷慨こうがいにして愛国の至情に富む、何ぞその相たるのはなはだしき。しこうしてその文章をなげうち去りて、殉国じゅんこく靖難せいなんの業につきたるが如き、二者ともにそのてつを同じうせり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
彼処あそこへ行くのは、ありやあ何だ——むゝ、教員か』と言つたやうな顔付をして、はなはだしい軽蔑けいべつの色をあらはして居るのもあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
しかし、彼男のは、売つて置いて知らん顔をして居よう、といふのだからはなはだしい。まあ、君、僕等の側に立つて考へて見て呉れたまへ——是程これほど新平民といふものを侮辱した話は無からう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)