)” の例文
私の役は彼の手紙を携えて、驚駭きょうがいの表情で彼の父の所へ駈けつけて、彼の父をき伏せなければならないのだった。之は中々大役だ。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
もちろん校長からこんこんとかれたこともあった。和尚さんからもそれとなく忠告された。けれどもそのためばかりではなかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
おんくに当たって、いわば恩の部類について一言したい。四おんなるものはなにかとか、あるいは中には五おんおんと数える人もある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ぼっちゃんのおかあさんは、とおいところへいってしまわれたのですよ。」と、あわれな子供こどもに、いてかせなければならなかったのです。
遠方の母 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かつ如此かくのごとき事をこゝろみし事なし、こゝろみてそのはなは馬鹿気ばかげきつたる事をみとめたれば全然ぜん/\之を放棄はうきせり、みちおこなことみちく事なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
薯蕷じねんじやう九州きうしゆう山奥やまおくいたるまで石版画せきばんゑ赤本あかほんざるのなしとはなうごめかして文学ぶんがく功徳くどく無量広大むりやうくわうだいなるを当世男たうせいをとこほとんど門並かどなみなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
ところ厚利こうりづるものなるに、これくに名高めいかうもつてせば、すなは無心むしんにして事情じじやうとほしとせられ、かなら(六三)をさめられざらん。
それで、フランスにいる友だちにたのんで、発明家をきつけてもらい、やっと、同じ飛行道具を手にいれることができたのです。
妖星人R (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
景色けしきだ、とこれから、前記ぜんき奥入瀬おいらせ奇勝きしようくこと一ばんして、くちあさぼらけ、みぎはまつはほんのりと、しまみどりに、なみあをい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかしこの事は極めて重大な研究事項で、一朝一夕にき尽し得べき限りでないからここには唯参考として一言しておくに止める。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何かのおまちがいではないか——どうぞ、主人のやまいえるのを待って、城内において御面会ねがいたい——とびるのであった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それをオーラのおとうさんが、きつけて、この計画けいかくをたてることになったのです。それは、おとうさんもよく知っていました。
わが越後のごとく年毎としごと幾丈いくぢやうの雪をなんたのしき事かあらん。雪のためちからつくざいつひやし千しんする事、しもところておもひはかるべし。
予もまた子のあるなしは運命でしかたがない、子のある人は子のあるのを幸福とし、子のない人は子のないを幸福とするのほかないといた。
紅黄録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ひとほうけとやら、こんな場合ばあいには矢張やは段違だんちがいの神様かみさまよりも、お馴染なじみみの祖父じじほうが、かえって都合つごうのよいこともあるものとえます。
熱心にいろいろと僕をきつける。ほんものの僕と、この影の僕とがはちあわせをするようなことはないと、博士は保証する。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
畢竟ひつきやうにんいろで、けつして一りつにはかぬものでしよく本義ほんぎとか理想りそうとかをいてところ實際問題じつさいもんだいとしてはあまやくたぬ。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
何か話のついでには拝借地の有名無実なるをき、等しく官地を使用せしむるならば之を私有地にして銘々めいめいに地所保存のはかりごとさしむるにかずと
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
痴人ちじんゆめく、されどゆめみづかさとるはかならずしも痴人ちじんにあらざるし。現今げんこんおいても、未來みらいおいても、七福しちふくきたきをしんずるあたはず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
ですからことわざは、命令めいれい意義いぎから、だん/\變化へんかして、社會的しやかいてき訓戒くんかいあるひは、人間にんげんとしてのこゝろがけをくといふ方面ほうめんに、意味いみ變化へんかしてました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
客観、主観、両態度の目的と関係はほぼきつくしましたから、これから両者の特性について少し述べたいと思います。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
成事せいじかず、遂事すいじいさめず、既往きおうとがめずというおしえもあるから、わしはいずれにしても異存はないと申上げて置いた。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いてきかせたが、そんなに気の毒だと思うなら、君がなんとかしてやれァいいじゃないかというフテくされかたで、話にもなにもなりゃしないんだ
蝶の絵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
湖水のほとりのその庵に暫く足をとどめて静養するよしべ、それから筆を極めて湖水の眺望のいい事をいておる。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
彼のは——「我の後に來らん者は何人なりとも、己れを否みてその十字架を取り、我につゞけ」と云つた基督キリストの爲めにのみく使徒の苛酷かこくさである。
おおせに従わない悪者どもをき従えてまいれとおおせになって、ひいらぎのほこをおさずけになり、御鉏友耳建日子みすきともみみたけひこという者をおつけえになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
女性じよせい無邪氣むじやきなる輕薄けいはくわらひ、さら一旦いつたんあたへたる財貨ざいか少娘こむすめ筐中きようちうよりうばひて酒亭一塲しゆていいちじやう醉夢すいむするのじようかしめついふたゝ免職めんしよくになりしこと
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
かれ其眼中そのがんちゆう社會しやくわい人々ひと/″\たゞしゆ區別くべつしてゐる、義者ぎしやと、不義者ふぎしやと、さうして婦人ふじんこと戀愛れんあいこといては、いつみづかふかかんつてくのであるが
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
世のいろいろの宗教はいろいろの道をたどりてこれを世人せじんいているが、それを私はあえて理窟りくつを言わずにただ感情にうったえて、これを草木でやしないたい
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
三人の尼僧が付ききりでしきりに神を懺悔ざんげすすめる。マタ・アリはせせら笑って耳をそうともしない。それは処刑の朝、八月十一日午前五時だった。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
たとえば常人が往々おうおう口にしていた風流と野暮との差別なども、是が無かったらもう知りようが無いのであるが、それはあまりに皮肉だからいてかない。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
 何せわしは御事が毎日毎日神をおきやってわしの息をひきとるまでお説やっても心はかわらぬのじゃ。
胚胎 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
不思議ふしぎ沈黙ちんもくつづいた。とうさんでさえそれをかすことが出来できなかった。ただただとうさんはだまって、袖子そでこている部屋へやそと廊下ろうかったりたりした。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
将又はたまた明六社なる者が其領袖りやうしう西あまね、津田真道まみち、森有礼等にりて廃刀論、廃帝論、男女同権論の如き日本歴史に未曾有みぞうなる新議論を遠慮会釈なくき立てしが如き
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
はじめ外国がいこくおしえだといってきらっていたものも、太子たいしがねっしんに因果応報いんがおうほうということのわけをいて
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
当時とうじにおける外交の事情じじょうを述べんとするに当り、小栗上野介おぐりこうずけのすけの人とりよりかんに、小栗は家康公いえやすこう以来有名ゆうめいなる家柄いえがらに生れ旗下きか中の鏘々そうそうたる武士にして幕末の事
これだけを、やっとあの気のどくなバルブレンのおっかあがおっといて承諾しょうだくさせたのであった。
翌朝、津村と私とは相談の上、ようやくめいめいが別箇行動を取ることにめた。津村は自分の大切な問題を提げて、話をまとめて貰うように昆布家の人々をせる。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
老僕ろうぼくひたいしかめ、り有り、大変たいへんが有りたりという。先生手をげて、そはしばらくくをめよ、我まずこれを言わん、浮浪ふろう壮士そうし御老中ごろうじゅうにても暗殺あんさつせしにはあらざると。
金のみの問題でない。同種同文にして思想、感情、風俗、習慣、すべてその源泉を同じうする民族でなければならぬ問題である。特に上来けるが如く、国境は相隣りしている。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
このすとんへんじの中央ちゆうおうつて東方とうほうながめるときは、太陽たいようるのを眞正面まつしようめんられるから、太陽崇拜たいようすうはい關係かんけいある宗教上しゆうきようじよう目的もくてきつくられたものであらうとひともありますが
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
だが、矢野氏の舌もかうと思ひ込んだ一本気な学生をすかすには力が足りなかつた。
打って一がんとなし、その連合の大勢力をもって、尊王抑覇よくはの大業をくわだつべきをあえてなさず、ただに民間市井の衆に、説をいて事を図ろうとなされた山県大弐殿と藤井右門殿との
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
海蔵かいぞうさんは、人々ひとびとのためだということを、いろいろときましたが、どうしても利助りすけさんには「のみこめ」ませんでした。しまいには利助りすけさんは、もうこんなはなしはいやだというように
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
初めは理をいて説き伏せたところが、あとはまるでかたなしのことをやり出した。
くるなら學校がくかうからものつくつたのでなければ、とても『ろ』の一語いちご我等われらかんずるやうなもの出來できないぞ、如何どうだろう?』と兒玉こだまいたのに二人ふたり異議いぎなく贊成さんせい
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
著者ちよしや大正十二年たいしようじゆうにねん關東大地震かんとうだいぢしんさい東京帝國大學内とうきようていこくだいがくない地震學教室ぢしんがくきようしつにあつて、水無みづなしに消防しようぼう從事じゆうじしたくるしい經驗けいけんゆうしてゐるが、みづ用意よういがあつての消防しようぼう比較ひかくしてその難易なんいくことは
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
遠藤君大塚君等大に人夫等をさとせどもつひに長く决せず、吉田警察署長大喝たいかついかりて曰く、余等県知事のめいを奉じて水源探究たんきうに来れるなり、水流をさかのぼり水源をきはめざればすとも帰らず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
けつしてういふ相場さうばるものではいとべんふるつていてたが、かぬ。
児を見に来る事もややうとくなり行きて、何事か不満の事情あるように見受けられければ、妾も事の破れんことを恐れ、一日くに女学校設立の意を以てし、彼をして五百金を支出せしめたる後
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)